広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

11月最初の日曜日稽古会

平成28年11月6日、11月最初の日曜日稽古会を行いました。この時期に成りますと流石に急に寒さが増して参りました。この冬も昨年以上に寒くなる予感が致します。そんな中、猛暑のタイでの戦いを終えた小林君が、最終戦へ向けて、最後の気入れの稽古に出向いて参りました。道場の入口から入って来る彼の姿が醸し出す気配は、明らかに激戦を終えて少し気の緩んだ物でありました。身体が一回り小さくなったと感じたほどでした。本来なら増々気が張って体が一回りも大きく感じられても良い時期に何たる事かと早速に説教タイムと相成りました。
シーズンに入れば常に気を張る工夫をせよと言明しておきました。それでなくとも剣にシーズンオフなど無いのですから。まだまだ甘い若者で有ります。
何はともあれ、永原君も久々の再会に、互いの手土産を交換しながら、暫しの歓談に興じておりました。
挨拶が済めば、互いに時間を惜しむ様に一人遣いに興じる若者達でありました。自身との会話を楽しむ様に木刀を振っておりました。
日曜日のこの道場は、時間的に余り余裕が有りませんので少し巻いて基本打込みに入りました。
可也足捌きに気を付けている永原君で有りましたが、やはり課題は流しに有ります。バタつく足との格闘も今暫く続きそうであります。
小林君は、正面打ちから課題を突き付けられて考え込んでおりました。考えるだけ考えさせて一言ヒントを与えました。
兵法に入りまして、前回の指摘の踏込みに可也気を込めておりました永原君で有りましたが、少し拍子を外す処がありました。しかしながら先ずは初太刀から気一杯で踏込んで来た処は良しとしました。
気の課題を突き付けられた小林君は、何か期するところが有ったのか、今季一番と言っても良い合撃を繰り出しました。見事に打太刀の竹刀が落ちておりました。暫し余韻に浸っていた程の手応えで有った様です。良き事で有ります。
しかしながら此れで終わらないのが彼で有ります。突如命じられた下からで、人差指から血を流す彼で有りました。これは之で確りと気が入る出来事であった思います。
残りの時間で、皆で真剣を抜き合って本日の稽古を終了と致しました。
小林君に取りまして、正しく人生を左右するであろう最終戦に向けて良き稽古、良き気入れで有りました。後は只、己を尽くすのみであります。
あらたなる戦いに入る廣川君も、この日の稽古に参加できない事を残念がっておりましたが、小林君の最終戦を待って、又皆で集いましょう。