広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

岐阜悟道館への指導稽古

令和六年8月24,25日。岐阜悟道館への指導稽古に出向きました。片道520キロ7時間の道程でありました。初日は先ずは新館長とその右腕とも言って良い所君への直伝稽古を行いました。土曜日が悟道館は、平素休館日と成っておりますので小生の希望を伝えての今回の仕儀と相成りました。中村流抜刀の基本刀法に剣の術理を注入する事にしました。10年に及ぶ単なる(物斬り)の御仁との交流を昨年、悟道館として意を決して断絶させたとは言え、未だこの痕跡は僅かに二人に垣間見らえます。徹底的に剣の術理によって正す事としました。

三人だけの熱き思いを持ちながらも静謐な時間が積もって参りました。ただ斬れれば良いと言うだけの者(物斬り)には判り様もない剣の術理の根幹を手本を示して伝えました。知り得た後が真の修行です。正しい振りを求めて途方もない時間を懸けて振り込んで行くしかありません。真の修行の続きであります。

知り合うまでは、(物斬り)さんの影響で平作りのマグロ包丁の様な単なる刃物を振っていた二人が、今は鎬のある真剣を心を込めて振り抜いておりました。正しく正道を歩んでおります。

その後、折角ですので実際に巻藁(畳表)に向かって貰いました。居合、抜刀で求めて行っている真の体捌きを伴った振りを巻藁を相手に実際に斬って貰いました。

やはり巻藁に向かうと試し斬り専用の動きを無意識にしてしまいます。(物斬り)さんの様な、体の運びも無く、小さくマグロ包丁を重さだけで落とす所作事では、剣技とは言えません。あくまでも剣技としての試し斬りを求めました。残心も心身ともに完結する様に手本を示しました。小生に取っては一年数か月ぶりの斬りでありました。新たに持参の刀の切れ味の確認になりました。寝刃を合わせるべきかと斬る前には思ってはいましたが、必要ない斬れ味でありました。三振りの斬りを見せて、後は二人の斬りの指導に専念しました。9月半ばの栃木英信館の抜刀道全国大会での二人の奮闘が楽しみであります。

二日目は久々に悟道館抜刀道場生の殆どが集まり、昨日の直伝稽古の流れで指導稽古を行いました。一通り一人での振りを行って貰い、個別対応の指導を行いました。皆少しずつ(物斬り)さんの悪癖が抜けつつあります。安堵しました。何時までも悪癖を消し去る事が出来ねば、昨年急逝された輝山前館長の魂が浮かばれません。今後は(物斬り)さんの気配までも消し去らねばなりません。武道、剣技では無いものは断固排除せねば駄目です。

良き直伝稽古の二日間でありました。前館長の奥様にも長時間お付き合いいただき、大変な歓待をうけました。前館長の思い出も含め三人で忌憚ないお話も充分に出来ました。

前館長の愛蔵の刀の数々もすべて拝見し、確かめる事が出来、恐らく御子息の現館長が引き継ぐもの、道場生に渡りそうな物、(物斬り)さんの関わった不純な物は全て縁を切り・・・振り分けが全て行われて、輝山先生も安堵されている事思います。

9月半ばの栃木桶田先生の元での再会を楽しみに、岐阜悟道館を後にました。二日間の悟道館での指導稽古の反省をしながらのドライブは楽しい物でありました。

日記

広島武徳会