広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

岐阜悟道館への指導稽古

悟道館応接室の雛飾り

令和五年2月26日、岐阜悟道館への指導稽古に出向きました。今年二度目の遠征となりました。新年早々、悟道館館長、副館長の要請によりお二人への指導稽古に出向いてから二度目の遠征は、悟道館抜刀部員への集団指導と成りました。
宮島嚴島神社奉納演武大会に出場して貰う様に成ってのお付き合いで有りますが、演武の状況を拝見すると巻藁(畳表)斬りが平素の練習の主と成っている様子を拝見し、館長・副館長と少し親しく武道談義をする様になり、小生の危惧する処を忌憚なくお話出来る間柄となりました。

その中で剣技としての刀法の稽古がなされない儘、巻藁が斬れれば良いと言う誤った取組が、10数年続いている事への警鐘を申し上げ、理解を頂き、真の剣技への道を求めて再出発への道程のお手伝いをする事と相成りました。

悟道館へ伝わる英信流の技12本を中心に修行の主体を組み替え、特に基本刀法に重きを置く、練習ではなく稽古に取組み事む事を求めました。

これまでの10数年は、剣技と言える物は何もなく、只重い平作りの刃物をその重さだけを頼りに、振るのでは無く、小手先で落とす事だけで巻藁を斬れれば良いと言う余興其の物でありました。

今回は前回お二人に伝えた刀法や武道として剣技の在り方、取組み方を道場生一同に伝える稽古会でありました。これまで10数年に及ぶ斬りへの取組のほゞ全否定から入らざるを得ませんでした。道の為には已む得ない仕儀で有りました。

困惑の表情を隠せない者もありましたが、伝えるべき事は遠慮なく伝え、今後の取組において捨て去らねば駄目な事は何かという事を真摯に伝えました。地道な基本稽古無くして武道には成り得ません。奇を衒った大道芸如き物にしか興味も持てない者は、道場を去るしかない事も伝えました。皆の心に響いてくれれば幸であります。そうであらねば、道場の行く末をあんじて小生を招いてくれた館長、副館長のお心に背きます。

悟道館の一門が我らと共に真の武道を目指して歩んで行ってくれる事を願うばかりであります。