広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

9月第三土曜日稽古会・・・彼岸の入り

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9月19日

令和二年9月19日、彼岸の入りに稽古会を行いました。四連休の初日でもあり、各地で人の出の多い日でありました。そんな中、若者達が出向いて参りました。勤務の都合上久々に顔を合わせた者もあり、夫々に挨拶を行っておりました。挨拶を済ませると夫々の立ち位置で一人遣いに励んでおりました。三人三様の様子を観ておりますと顔姿がそれぞれ違うように一人遣いに取り組む様も各人各様であります。

只只管に振り続ける者、振るよりは考え込む事の多い者・・・夫々であり、性格気質がよく表れている事であります。

坐礼を行いその際に小林君に打込み用の木刀を手渡しました。キョトンとしたその表情は・・・まだまだ隙だらけの未熟者であります。何時に成ったら自慢の弟子に成れぬのか・・・正面の廣川君の(おバカちゃんね!)という一言が・・・頭の中で聞こえて参りました。

砥石と刀の例えを説いて真の弟子足り得る事を厳しく求めました。弟子達に何処までとどいたのか・・・。

木刀による打込み稽古を行いました。必死に打込む者の傍で正座で見取り稽古をするでもなく、一人突っ立ち、木刀の刃部を左手で握り、見ている者が・・・この阿呆を厳しく怒鳴りつけました。叱責されねば、気が付かぬこの者の阿呆ぶりは・・・許しがたい所業であります。スポーツの世界ではお座なりに成っている事でしょうが、武道の世界では、許されざる事が厳在します。プロレーサーか何か知らぬが、自分勝手な無作法をこの神聖な道場に持ち込むで無い!・・・・・戯け!!

今度許されざることをしたら、手にしている得物(竹刀なら竹刀、木刀なら木刀、真剣なら真剣で・・・)非斬りをしてやろうかとも・・・その怒りを少しは感じたのか・・・兵法に臨む顔つきが悲壮感を帯びておりました。

その様な中で突如として飛び出した気の発露・・・本人も自身に衝撃を受ける良き手応えが・・・まだその手の内に残り、感じて居る様でありました。怪我の功名とでも申しましょうか・・・良き体験でありましたでしょう。

兵法の稽古を終え、一服清涼を得ている時に廣川君のお母様からお供えの生花が届いた旨の知らせが入りました。彼岸のお供えが無事に届いたようであります。コロナ騒動が一日も早く終息し、皆でお自宅にもお参りに出向きたいと旨をお伝えしました。

稽古の最後の時間は、この日は抜刀に遣いました。地稽古を行えば、僅かでも怒りが有る内は、痛めつける稽古になりかねませんで・・・それでは、稽古とは言えません。怒りにまかせて打ちすえても相手の心には響きません。

この日は、真剣に己の全てを委ねて、只々無心に夢中になって振込みました。心地よい汗を出し尽くして、良き清涼感に全身を包み込まれて、この日の稽古を終えました。

日記

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彼岸のお供え