広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

7月第三土曜日稽古会・・・大阪から野原君が参加

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7月17日

令和三年7月17日、7月の第三土曜日稽古会を行いました。この日は、予定通りワクチン接種を終えた野原君が大阪から出向いて参りました。関東を中心にコロナ感染者が増大しており、大阪でも関東に追随して感染者の増加が伺われる状況です。前回の稽古参加の折に、次の参加はワクチン接種後にしますと言う彼の申し出でありました。その申し出が、無事に実行出来たこの日で有りました。

無論この様な状況ですので公共機関ではなく、自家用車での移動でありました。長時間の移動もそこそこに道場に入り、皆に挨拶を済ませると早速に剣道着袴に着替え、先ずは一人遣いに汗を流しておりました。クーラーの無い道場で有りますが、最近は猛暑に耐えかねて二台の大型扇風機を道場の対角線上に配して、風を送りながらの稽古と成っております。僅かながらでも暑さを凌げます。

坐礼の際には、新調の木刀を手渡し、最近の都城の木刀製作の現状も伝えておきました。剣の稽古に必要な良き道具類の調達が少しづつ難しくなっております。世の流れとは言え、将来の為に方策を模索しておかねばと思います。

木刀での打込みにも少し工夫をして木刀のもちを永らえる事を試しております。感触は、悪くないと感じております。

元立に対すると少し小さく、硬くなりがちな打込みに注意を与え、大調子をしかし最後の鋭さも求め、少し多めに打込ませました。扇風機が回っているとは言え、この暑さも有り息を詰まらせながら、顔を真っ赤にして取り組んでおりました。ふらつきが出始めた処で、永原君と交代させました。気を失う前の交代で有りました。

兵法では、序盤では打ちが縮こまっておりました。そこの処を自覚させ、伸びやかな打ちを実行させました。縮こまった打ちでは、とても地稽古に遣えません。この日は、永原君も太刀筋に迷いが出ておりました。足腰の不安定さは、如何も体調にあるのではと心配であります。明らかに痩せております。それでも九箇になりますと二人共に良き処が出ておりました。

真剣を遣っての抜刀では、野原君の太刀筋に伸びやかさが出て来ておりました。永原君は、やはり刀に振られて足元がおぼつかない様でした。一人稽古での工夫も必要でありましょう。

最後に防具を着けての地稽古を行いました。野原君は、基本の大きな打ちで懸って来ておりましたが、何にせよ剣先の効いた処に打ってきますので、自ら相手の剣先にぶつかり、串刺し状態を繰り返して、目を白黒させておりました。攻めるという事を今少し形稽古の中から見つけ出さねばなりません。所詮相手の構えが崩れねば一本取る事は叶いません。打たれながら・・・如何にすれば崩せるのか・・・求めて行くしかありません。体で覚えるしかありません。

永原君は、指に当たった打ちが一本ありました。あの打ちを本当の小手打ちにする工夫を求めました。決められた処にしか打てない現代剣道の難しさを感じ始めている永原君でありました。難しくも尊い処・・・そこが現代剣道の根幹です。どこでも斬れば良い思われている古流との違いでもあります。我らはそこの処を別物とせずに一つとして求めて参ります。

清涼を求めての一服の時間に野原君が、最早外道と言っても良い馬鹿者の事をあんじておりましたが・・・あのような戯けの相手をするのも馬鹿々しい。捨て置きます。相手にするのも時間の無駄・・・。

耐え難い猛暑の中での稽古でありました、面を取って礼法を終えた面々の顔は、清々しさに満ちておりました。

日記