広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

8月最後の日曜日稽古会・・・お盆休みそして自粛期間をへて

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8月29日

令和三年8月29日、8月最後の日曜日に稽古を再開しました。大阪よりワクチン接種を終えた野原君が車で出向いて参りました。平成16年博多で入門して節目の丸17年を迎えた稽古会と成りました。露払いとして定期的にPCR検査を受けている小林君が参加で有りました。

野原君の到着を待ちながら、先ずは小林君と木刀による基本打込、本伝の太刀を遣い合いました。合撃は、ほゞ満足の行く手応えでありました。二の斬りも一本、良き遣いぷっりを魅せておりました。ケジメの時を迎え、五段を許された自信と充実が伺われます。廣川君をはじめ先輩二人に続く事四年七カ月での昇段となりました。

本伝の太刀を遣い終わる頃、野原君が五時間余りのドライブで道場に到着しました。長時間の運転を物ともせずに早速剣道着袴に着替えて、木刀を振りながら心身を調え、坐礼へと入りました。廣川君と共に四人で呼吸法を一つとし、気を高め、彼への稽古をつける事としました。

木刀での基本打込では、一本一本気を込め、息の切れるまで繰り返す野原君でありました。その時の木刀は十数年前に私が授けた一振りでありました。その後、本伝の太刀を遣い合い、お茶で水分補給をしました。冷茶が殊の外美味でありました。この日も熱中症の警報が発令されている中での稽古かでありましたので、冷たさが何よりも心地よく感じました。その後は、真剣にて抜刀を抜き合いました。野原君の手には、大坪さんの形見の一振りが・・・。彼を当会に導いた彼にとっての恩人の形見であります。

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稽古の最後の締めは、防具を着けての地稽古でありました。先ずは、野原君から懸って参りました。基本打込の様に大きく、しかし基本の時よりは明らかに鋭く、何とか一本を取ろうと果敢に打って来ておりました。兎角地稽古と成りますと殆どの者が、早く当てようとして動作が小さくなります。それに比べれば遥かに良いのですが、大きすぎる打ちで人を捉える事は、無理があります。今の気持ちを失わずに今少し打ちの動作を絞る事を求めました。

小林君は、小手打ちに活路を見出そうとしておりました。しかし、すべてが後打ち・・・先(せん)に懸らねば真の一本は、取れません。二人の稽古を見取り稽古をしていた野原君が、稽古後の質問で(先に打って行っている様に見える小林君が、先に打たれてしまう。何故でしょうか)と問いかけて来ました。先を取り、人を動かし、仕留める活人剣の理を伝えました。果てしない剣の術理を求めての彼らの修行が続きます。

夫々の節目の時となりました本日の稽古でありましたが、皆の記憶に残る良き一日でありました。

 

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