広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

村山氏との二人稽古

村山さんの脳腫瘍が発覚し、稽古中断から二ヶ月をへて稽古再開を果たして本日で10回目の稽古となりました。毎回奥様と共に道場に見えられ奥様も村山さんの予てからの提案を受入れられ剣道を始めました。勿論、今は素振りだけですが、我々二人が形を打っている間暫く正座して形稽古を見学した後、一人鏡に向かいもくもくと竹刀を振る毎日です。これは勿論自身のためではなく少しでも夫との時間を共有したい。共に病と闘って行きたいと言う強い意志の表れである事は申すまでもありません。毎回金曜日に何事も無い様にお二人で見えられ黙々と稽古されるお姿に接し小生の方が襟を正さざるをえません。其の尊いお姿には感動すらおぼえます。その奥様からさほど激しく動き回るわけではないのになぜ二人ともあれ程の汗を流し、夫に至っては苦しそうな息遣いに成っているのかとの質問を受けましたので呼吸法の説明とその方法を少しお話しました。其の事がいたく琴線に触れた様でしたので素振りにおきましても呼吸法を伴った方法を伝えました。大変なカルチャーショックを受けた様子で嬉々として素振りを行う様子に接し、小生も大変嬉しく感じました。村山氏との稽古において再開した地稽古は此処数回、放射線治療の影響と思われる網膜レッコウの症状が出たためドクターストップがかかり中止し形稽古のみとしましたがまたいずれ近い内に再開できますでしょう。それほど最近の村山さんの気力は充実してきております。特に本日の小太刀の一本目の打ちは素晴らしい気迫に満ちておりました。これからも二人で村山さんを襲った魔を打ちすえ退散させるべく気を燃やし降魔の剣を振るって参りましょう。