広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

八月博多定例稽古会

今回の稽古会は本来次の日に博多で行わる昇段試験に合わせ六段を受験予定の土居君の為の稽古会で有りました。しかしながら当の本人が盆休みの帰省に際して同級生との稽古にて脹脛を痛めると言う事態になり稽古会事態の開催の中止も検討しましたが広島の稽古も博多での稽古会及び昇段試験の応援を兼ねて土日の稽古を中止としておりましたので、博多のリハビリ中の会員の見守る中での広島の会員のみの稽古会を強行致しました。リハビリ中の大坪氏にも三ヶ月振りに会えると言う事もあり、これはこれで有意義な稽古会と成りました。


ただ残念な事に本来の板張り道場の確保が成されおらず、コンクリの上にゴムマットを直張りした様な床での稽古は足腰に少なからず負荷が懸かり、思う存分の踏込みを本能的にかばう事と成りました。広島から同行した会員には少々酷な環境での出稽古と成ってしまい、申し訳なく感じました。


ただ平素あまり接しない会員の視線を感じながらの稽古は大変プレッシャーを感じた様で有りますが、その重圧は馴染みの無い場の雰囲気と合い交わり、良き修行の一環と成ったと感じました。場の遣い方も本伝の太刀は縦横本来の場の遣い方をしましたが試合勢法は長さの関係もあり対角線を初めて遣ってみました。これにも大変困惑したようでありますが、新鮮な驚きと場の中での壁の見え方の違い、背後の壁の様子への対応等、興味は尽きない様子にある種の頼もしさも感じた次第であります。土居君も稽古出来ない事へのもどかしさ感じつつ久しぶりに見る他の会員の思わぬ上達ぶりに感心仕切りの様子で有りました。ある意味彼にも良き刺激に成ったようでこの博多での稽古は強行して正解であったと思います。六年目に入りました博多での稽古会を何があっても休む訳には参りません。伝授の序次の表総てと三学(下から)を遣いきり、抜刀を抜き本日の稽古を終了しました。


その後大坪氏と落ち合い、全員で蕎麦に舌鼓を打ちながら本日の稽古の歓談と近況報告に花を咲かせ楽しい一時を過ごしました。土居君の今回の状況は此処半年の彼の修行状態を見れば小生も今回の昇段試験は少なからず期待と手応えを感じておりましたので残念ではありますが、試験前に上手に懸かる練る稽古ではなく同級生相手に一度ならず二度三度と学生時代にもどった稽古をしすぎての怪我でありますので彼の剣の修行に対する今だ至らぬ処を天が指摘したと言う事で有りましょう。少々気持ちが浮ついていたとしか言い様がありません。今回の道場の手配と言い軽率のそしりを受けざるを得ません。この得がたい天の采配を自身の明日の糧とするか否かはまったく自分自身の問題です。しっかり肝に銘じ性根を入れ直して欲しいと節に願っております。