広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

10月最後の稽古会

10月も最後の稽古会と成りました。先週の土日は学校行事の為道場が使用出来ませんでしたので久しぶりに他の古流の研究稽古に赴きました。謙虚に学ぶべき処、良きところを探しながらの検証となりました。自身との遣い方の違い、その取り組み等を拝見しながらその理に思いを馳せ貴重な時間を過ごしました。数を求めず、宣伝せずの流派に学ぶべき点が有るように感じました。しかし古流、古武道と称してその実は近世に誕生したであろう流派の何と多いことか!刀に古刀、新刀、新〃刀がある如く古流、古武道を名乗るならば少なくとも300年前後の経過は必要で有ろうと考えます。あえて古武道などと称せず武道で良いのではないでしょうか。


本日はたまたま各人の参加時間に適当なズレが有りましたので到着した順番に相対の集中した稽古と成りました。島田さんは基本稽古で余りに早く疲れてしまう事にショックを受けた様で、一人稽古で毎回一時間のノルマを課し本日に臨みましたので、本人少々自信も有ったかもしれませんが・・・・・・僅か二週間程度で変化があるわけも無く、息も絶え絶えに追い込まれ、改めて修行の厳しさを実感出来た様です。しかし自身に課すその意気や良しです。しかしながらせめて3年は続けねば何にも成りません。現在の決意の継続を願うのみです。又体力技術だけで師の位にある者が平気で遣っていると安易な解釈をしている様でありましたので、その無神経な態度を厳しく叱責する結果にもなりました。今一度師の位に有る者の総てを真摯に写し取る事を課しました。彼には何度も注意叱責する事に成ってしまいますが物事に対し余りに表面上の上っ面滑りが多すぎます。折角師弟関係を結んだのですから、いま少し本質にせまる、掘り下げる性質を少しずつ身に付けて行って貰います。伝授の序次の表を総て遣い合い、下からの残り三本の代授を終了しました。今の段階では勿論一人遣いで有ります。此処までを一二年懸けて磨いて参ります。男稽古の二時間を一気に遣いきりました。


第一陣が引き上げた後に第二陣の稽古が始まりました。全国に蔓延しているインフルエンザでは有りませんがここ一週間風邪に悩まされている為マスクが離せないと言う事ですのであえてここはマスクをしたままままで稽古をしてもらいました。無論基本打込みもで有ります。このマスクをした稽古は小生も大学時代に経験済みで有りますが呼吸の苦しいことは大変なもので有りました。無論風邪の為ではなく心肺機能の強化を狙っての物であります。図らずも今回その苦しさを体験して貰う事と成りました。基本稽古が始まると程なくして顔が紅潮してくる様子が見て取れました。何時もの省エネ刀法に逃れる術も無く、返って良く気を発する稽古となった様で有りました。気力の限り遣いきる事が大事ですのでかえって良き稽古となりました。その後の兵法も負荷の懸かった状態が返って良き結果を生む事となり、特に三学(とりあげ)は最近では一番の良き出来で有りました。負荷の懸かった状態が図らずもあれこれ迷わぬ良き無心の遣い方となった様で有ります。抜刀もその状態で遣って貰いましたが特に斬り下ろしに今まで以上の勢いが出たのは収穫で有りました。