広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

第四日曜日稽古会

昨日に続き日曜日稽古会を行いました。金曜日の夜稽古からですと三連続稽古の最終日となります。昼過ぎと言うのに道場内はこの三日間で一番の冷え込みで有りました。時々日差しは差すのですが道場には薄日が僅かに入るだけで殆ど其の暖の恩恵は有りませんでした。自身の順番を待ちながら過ごす時間にも一工夫が必要で有った様です。しかし見取り稽古は最も大切ですので各人寒さを堪えながら稽古の様子をしっかり見ておりました。人の稽古をしっかり見る事が習慣付いていない者の上達は古今より遅いもので有るようです。


寒さを吹き飛ばすにはやはり基本の打込みが一番です。昨日にもましてしっかり打込んで貰いました。島田さんには毎回悪癖悪力を取り去るためにへとへとになるまで打込んで貰っておりますが、今回はそこからユッタリとした調子で今一度遣って貰いました。案の定言われた調子で最初は行えず自身をコントロールする事の難しさ至らなさをかみ締めていたようです。ユッタリ行うとその欠点が鮮やかに浮き彫りに成ります。一つ一つ指摘し改めて気が付いて貰いました。しかし何と自分の事でありますのに忘れる事が巧みで有りましょうか。変に感心しました。今一人は順の振りにまた迷路に陥ってしまいそうで弱音を連発する始末で有りましたが、そこは心を鬼にし泣いても止めさせず何とか迷路に陥る寸前で引き戻す事に成功致しました。何とも手の懸かる者達であります。それにしてもあれほど声にして(出来ない)などと言ってはならぬと厳命しておりますのについつい声を出してしまいます。今一人にも腹で返事しなさいと言っているにもかかわらず未だに出来もしないのに空返事をします。言っても判らない者達にはそろそろ張り倒してやらねばとも考えております。愚鈍で有る事は百もしょうちで有りますがそろそろ大概にして欲しいものです。


兵法に移り演武に向けての重点項目は各人申し付けておりますのでそれなりの自覚を持って取組んで貰います。三学の半開半向の合撃は思わず小生がにやりとしたほど良い手応えで有りました。本人の然程と思って無い様子は如何も合撃の打ち被せの手応えを勘違いしている様でもっと強い衝撃が本当であると思っている節があります。どこぞの養子さんが馬鹿力でぶっつける様子が思い浮かびましたがそこまでのお馬鹿さんでも有りませんでしょう。少しずつ判って来ると思います。それにしても良き合撃でありました。その心地よさを共有出来ればもっと良かったのですが。八勢は今の段階では手順のトレースの域を出ません。これを契機に形に息吹を吹きこまねば成りません。まずは位にはいるところから今ひとつ気を込めなけば成りません。あまりにぞんざい軽々に入りすぎです。そして下がりの相懸けです。一人相撲で一人で焦り巻くっております。少しでも遣い合う事を目指す良き機会とし取組んで欲しいと考えます。


最後に昨日は出来ませんでした抜刀の居合を抜きあいました。足袋を使用しての初めての居合でしたが抜き付け、納刀の足捌きは素足より遣いやすさを感じた様でありました。引身の足捌き、低き抜き付けの感所はしっかり摑んだ様で有ります。しかし新品の綿袴の捌きには少し苦労している様で有りました。化繊の袴に慣れていると少し難しいかもしれませんが本来綿袴が正式です。しっかり慣れ親しんで欲しいと思います。三日連続の稽古会を無事終了する事が出来ました。寒い時には寒いときなりの稽古が今しばらく続きます。しっかり気を引き締め取組んで参りましょう。