広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

八月盆休み特別稽古

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お盆休みを利用して、大阪から野原君が稽古に出向いて参りましたので急遽稽古を行う事としました。もはや帰省ラッシュが始まっていた様で予定より40分近く遅れての到着で有りました。昼過ぎからの稽古で有りましたので連日の猛暑を考え、今回は招魂社ではなく冷房のある総合体育館の剣道場を島田氏に手配してもらいました。お陰で充分な二人稽古を行う事が出来ました。四月の出稽古の際に預かっていた刀の修理と砥ぎが出来上がっておりましたので、今回手渡す事が出来ました。当初は柄の遣り変えだけを頼まれておりましたが、如何にも砥ぎの状態が思わしくなく小生の砥ぎの稽古も兼ね仕上げ砥ぎを施す事としました。生まれ変わった刀の感触を確かめて貰うべく、今回は抜刀からの稽古としました。柄巻きのみでなく木地も作り変え、バランスや時代も考慮して鍔も交換しましたので、当初とは全く違う手応えに新鮮な驚きを感じていた様であります。砥ぎをした事で表れた地鉄の肌や刃の冴えには砥ぎをした小生自身が驚きの連続で有りました。拵えも摸擬刀の粗末な拵えで砥ぎも下地砥ぎのままで有り、深すぎる樋を彫っているために妙に軽すぎて振りにくく、全く真剣とさえ思えなかったその刀であります。持ち主の本人でさえ新々刀と思っていた物が新刀からもしかすると古刀の可能性さえ出て参りました。これも又ご縁、剣縁であると言わざるを得ません。新しく手に入れた名刀平高田がもたらしたある種の奇跡かも知れません。


ここしばらく施した居合の直伝の検証をし手直しを致しました。これで細部に至るまでアヤフヤなところは無くなりましたでしょう。あとは迷わず精度を増して行くのみです。此処からが真の稽古です。刀を振らせてみますとまだまだ右手主体で振っております。之では何のための刀であるか判りません。あくまでも剣は左が主です。又刃筋を整えようとして小さく手前に纏め様とします。これではとても武道とは言えません。常に勢法として遣わねば単なる踊りで有ります。その後立合の表裏も遣わせました。これも今回でしっかり一人稽古が出来る様にはなったと思います。後は兎に角我流独り善がりに成りがちな自身との勝負です。正しく身に付け真の上達の道を歩んで行って欲しいと願っております。兵法は時間の関係上本伝の太刀のみを遣い合いました。此処に来て遠いところに位置し、しかし何とか自分に負けずに取組んできた成果が確かに出て参りました。如何しても修行の年数の割には物足りなかった合撃の手応えにやっと合格点を付けました。彼も今までと違うその感触に何時までも浸っておきたい様な気配を示しておりました。拳のさがり、踏込みのあまさ、足腰刀の連動等々の課題が一気に氷解しそうな気配で有りました。


充実した稽古を終了し、市内まで足を延ばしてもらい温泉に浸かってもらいました。その後、合流した今一人を交え、食事をしながら剣談を楽しみ帰途について貰いました。大阪到着のメールが入りましたのが午前4時で有りました。お疲れ様!