広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

十月博多定例稽古会

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十月の博多定例稽古会を行いました。久々の大雨の中の博多行と成りました。早良区の道場に到着する頃には一旦は上がっておりましたが、道中大雨の影響でしょうか高速道路では事故渋滞に巻き込まれ、途中のインター間を回避する羽目に成り、到着が少々遅れる結果と成りました。しかし何とか一時半には稽古を開始する事が出来ました。


先月から入会されました市原さんも広島への出稽古を経ての参加と成りました。前回の二日間の出稽古で何とか三学(とり上げ)の手順を覚えて貰いましたが、今回はそれをより深める事に専念して頂きました。基本稽古におきましては今回もすり足にて行って貰いました。剣道経験者で有りますので踏み込みをそろそろとは考えておりましたが、足腰刀の連動をいま少しすり足にて心身に染み込ませて貰う事としました。それと早良区の道場の床の固さも少し踏み込み足を行う事を躊躇する一因では有ります。兎にも角にもやや広めの道場を一杯に遣い、ユッタリとしかし充分な汗を確りと掻いて貰いました。やはり真っ直ぐに体を運ぶ事が難しく、四苦八苦しておりました。如何しても右足前なら斜め右に、左足前なら斜め左に進んでしまいます。ここは焦らずに真っ直ぐに体を運ぶコツを身に付けて頂きます。順逆は手が縮こまったり、体が正対したりと中々思うに任せない様ですが、不意に良いところもでます。少しずつ身に付けて行って貰います。先輩は珍しく皺の目立つ袴同様に前半は何かしらピリッとしない様子で有りましたが、少し基本で追い込まれてからはシャキとして来た様で有ります。ブスい指遣いも少しずつでは有りますが正されてきております。


基本稽古の後は今回は抜刀を行う事としました。思いのほか道場内が暑く感じられましたので、余り汗が出ないうちに刀を抜く事としました。市原さんには兎に角抜き付けと納刀を繰り返して貰いました。危なっかしい納刀では有りましたが兎に角、怪我を恐れずに何度も行って貰いました。左手指の遣い方、右手の指遣いと竹刀遣い以上に難儀をしておりましたが、回数を重ねて行くに従い少しずつ身に付いて参りますので弛まず遣って貰うしか有りません。先輩の納刀はやっと受け指の形が整ってきました。しかしやはりキャッチしたい未練は残っている様で時にピクピクと指が動いておりました。少し納刀の角度が乱れておりましたので正しておきました。これは直ぐに気が付いた様であります。その後皆で順抜を抜きあいました。これは母刀で有りますので何処までもしっかり抜いて貰います。とりあげの如く一点一角を疎かにせぬように精密さを何処までも求めて行って貰います。腰で抜き腰で斬り腰で納める事を時間の許す限り体感して貰いました。


兵法に移りまして三学(とり上げ)九箇、下からを遣い合いました。勿論市原さんは(とり上げ)のみを何度も遣って貰い、見てもらいを繰り返しました。一人遣いでは遣え覚えたはずの事が打太刀を相手にすると間違えたり迷ったりする事にしきりと首を捻っておりましたが、それが形稽古の難しさであり醍醐味でも有ります。最後には何とか間違えずに打てるように成りました。五年に及ぶ悪癖でありましょうか、ややもすると拳が下がってしまいます。強く自覚を要する処であります。先輩は雷刀の角度の重要性に気が付いた様で有りました。そこが歪だと打ちその物に影響すると気が付いた事は今回の一番の収穫で有りました。最初に教えられた事の真の意味に気が付くのに約三年・・・・剣の気づきにはまったく時間が懸かる者で有ります。平素簡単に判った積りで遣っている事柄を真に理解出来るには何年もの時間を要すると感心しきりに感じた先輩で有りました。