広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

新年度最初の土日稽古会

いよいよ新年度の始まりであります。広島では桜の開花宣言がされましたが、この土日は正しく花冷えの様相を呈しておりました。特に当道場は日が差し込みませんので一日中冷え冷えとしておりました。博多から稽古に出向いてこられました市原さんも少々驚き気味でありました。しかし久しぶりの泊まり掛けの稽古で有りますので張り切って竹刀を振っておりました。


基本稽古でまずは二人に確り心身総てを遣って打込みを行って貰いました。前回余りに独りよがりな打込みを繰り返していた島田氏も少しは考えて来たようで必死に目で元立の様子を見ながら打ち込んで来ておりましたが、余りに目で追って遣っておりましので不自然さは拭いようも有りません。やはり観につながる感でみなければ自然な打込みは出来ようも有りません。雷刀から体が前に出るときに崩れて仕舞う両拳の位置も少々では正せませんが、何処までも先ずは意識し自身で正して行ってもらうしか有りません。市原さんは一人遣いでは身体の遣い方のコツは掴みつつ有ります。後は身体の出を真っ直ぐに保つ工夫と逆勢の時の腰が左に振れて仕舞う処の足腰の安定で有りましょう。如何しても不自然に後ろ足の踵をそれも大きく上げて仕舞う癖が足腰の安定を欠く大きな要因に成っております。そして何より元立に対すると手主導の叩きに成って仕舞います。しかしそれもその都度厳しく叱責されることで少しずつ身体が正しく反応しつつ有ります。只々正しさを求めて元立に対して打込みを繰り返すしか有りません。夢中になってしかも正しさを求めて打ち込んだ数の量程しか竹刀は言う事をきいてくれません。折角の出稽古で勢法にもっと時間を費やしたかったかもしれませんがあえて基本の打込みにそれも小生に対してしか出来ない打ち込みに多めの時間を費やして貰いました。所詮基本が出来ねば勢法に移っても手順だけの踊りに堕して仕舞います。その他大勢の愚にもつかない間違いを自身の直弟子にさせるわけには参りません。この様な稽古に興味面白みを持てない者には会を去ってもらうしか有りませんが幸いに現在只今の彼らにはその心配はなきようであります。真の武道への上達の道を共に歩んでまいられそうで有ります。


市原さんが参加の時には他の者にも良い機会ですので三学、八勢を重点的に行う事としております。趣の違う先ず最初に伝授される二種の勢法、しかし生涯間違いなく修行してゆくこの勢法を遣い方の違いを良く咀嚼しながら何度も遣い合いました。市原さんも三学が少しずつ楽しく成ってきた様であります。合撃の拍子の掴み方は少々難儀しておりますが、それでも数本良き手応えがでて参りました。ある時パッと目の前が開けるような誰もが何時か間違いなく感じる喜びを感じる日もそう遠くないでありましょう。


数時間皆に遅れて、休み返上で仕事を終えて駆けつけてきたヤジさんにも三学、八勢を遣って貰い抜刀に移りました。下からに未練たらたらの様子は無視し、新しき愛刀を手渡し、古刀との会話に移行して貰いました。直に新たなる愛刀との語らいに没頭しておりました。愛刀からの良き言葉を貰えたようで喜々として振っておりました。


稽古後は久しぶりに皆で柳橋の小谷に赴きました。明日への英気を養い一日目の散開としました。