広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

平成24年納めの稽古会

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平成24年の納めの稽古会を行いました。全員参加の稽古会は先週行なっておりますので、今回は参加できる者のみでの納めの稽古会であります。クリスマス前日の納の会は明日のホワイトクリスマスを確信させるように程なく降り始めた雪は強さを増すばかりでありました。その強さとは裏腹に行く年を惜しむように何やら寂しさをたたえて降りしきっておりました。少人数での直伝稽古をモットウとする当道場では、その場にいるべき者が居ない状況は何かしら心寂しい物であります。一人入院生活を送る者を想い、全員が心に寂静感を感じながらの稽古会でありました。自身に喝を入れ、気を送るように熱き基本稽古を展開致しました。程なく全員の身体から湯気が立ちのぼってくるのに然程の時間はかかりませんでした。


本伝の太刀、試合勢法と今年伝授しました物を心行くまで遣い合いました。少しずつ各人各様に良き手応えが出てきております。判らなかった物が少しずつ判って来てそして表現出来つつ有ります。勿論未熟な物は多々有りますが、速成は剣の世界では害以外の何物でも有りませんので静かに其の熟成をまちます。しかし不用意に無神経に竹刀を当てるのは駄目です。無神経は所詮外道に落ちます。約束稽古と言う形稽古の意味を良く咀嚼し、不用意に無神経に竹刀が当たって仕舞う現象をなくさねば駄目です。新陰流は斬り合い撃ち合いです。無法剣でも騙し討ちでもまぐれ当りでも有りません。もっと精密に心を込めて遣う事を求めます。


兵法を遣い終えた頃、病院からメールが届きました。とりあえず身体中の管が取れたとの連絡で有りました。そして納会に出たかったと早く稽古がしたいと。この気力で一日でも早い復帰を願うのみです。皆に伝えると一様に安堵の表情を浮かべておりました。気持ちは皆同じです。


若干一名、いまだスタッドレスをつけていない者の帰宅を心配して少し早めに抜刀を切り上げ、今年の納めの稽古を終了しました。少し丁寧な掃除を行い、熱いうどんで歓談し、散開と致しました。しかし道場を後にする時に隅々を点検しておりますとそこはかと感じる、日々の愛弟子の気配が確かに残っており何とも言えない気持ちになりました。早く帰って来い!