広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

12月第三日曜日稽古会

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師走の日曜稽古会を行ないました。この時期になると中々に全員が揃う事は難しくなりますが、それも又止む終えぬ事では有ります。先ずは仕事第一であります。しかし忙しさに負けて良いという事でも有りません。日々の修行に妥協は許されません。時間は何とかして捻出して、僅かな時間でも出向いて来て欲しいもので有ります。わずか一本の稽古の為に一時間の道のりを馳せ参じる者に真の上達が用意されていると感じる昨今で有ります。

実りの秋が過ぎ、真冬を感じる昨今、最後の実りを迎えるべく、一人の若者が本日も基本稽古で大汗を流しておりました。元立相手の基本稽古に入る前の一人遣いでは、この一年の修行のある程度の成果を感じつつある昨今でありますが、人を相手にすると途端に課題が顔を覗かせます。特に相懸けが入ると打ちが醜い物に変貌してしまいます。頭では無論判ってはいる事では有るでしょうが、余計な力みが入って仕舞います。解っていても出来ねば何の役にもたちません。先ずは基本稽古で出来るまで師弟共々の行はつづきます。基本稽古で出来ねば、形に移れるはずも有りません。此処暫く試合勢法には入る事無く、本伝の太刀のみに取り組ませましょう。

本伝の太刀の求める処は可也確りと理解し、実践出来つつ有ります。呼吸が詰まりそうになりながらも、何とか呼吸法を遣り通そうとする気配は感じることが出来ました。その時はやはり良い顔付きをしておりました。これを続ける事が出来れば呼吸も確りと下に降りてきて、丹田に納まって参るでしょう。

兵法もそろそろ終了する頃、先輩が駆け付けて参りました。今回の用事は治療とは殆ど関係ない・・・・まぁ心の癒しに関係すると言い張れば・・・。兎にも角にも、出向いてきた以上おとなしく見取り稽古に終始するはずもなく、三学の一本を求めて参りました。帯状疱疹の痛みも何のそのと平服で遣太刀の位置に立つ彼女で有りました。その様な時にはやはり平生の雰囲気から・・・凛としてしまう弟子でありました。

三週間は残ると言われる痛みも物ともせずに繰り出した一刀両段の合擊はあの感激の日を思い出すような一撃でありました。その手応えの素晴らしさに形を打ち終えるや、よし!と親指を突き出した事が鮮明に思い出されました。病が発覚して一年。心を痛め、しかし戦い抜く決心をし、幾多の困難苦しみと戦い抜きながら、しかも修行を止めなかった者へのご褒美をやはり剣の神様は忘れてはおりませんでした。嬉しい嬉しい手応えが打太刀の手にも忘れる事が出来ないように残っております。至福の一時でありました。