広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

五月第三日曜日稽古会

昨日の土曜稽古会に引き続き、第三日曜日稽古会を行いました。昨日出向いて参りました永原君は会社行事の為欠席でありましたが、それ以外は皆出向いて参りました。先ずは一ヶ月振りの関戸君が一番乗りで有りました。業務で日焼けした顔で純白の剣道着袴に着替えるのももどかしそうに、早速一人遣いを始めました。平素の庭先での一人稽古の様子が、よく見て取れる物でありました。しかし間違った遣い方、勘違いの類は捨て置けませんので、機を逃さずに正す事としました。その後は然程声をかける必要も無く、黙々と良き汗を流しておりました。小林君は金曜の平日稽古に続いての参加でありました。三月末から始まったレースシーズンの為に土日に出向いてこれるのは珍しい事であります。金曜日の稽古の際に工夫を与えた心の問題、気の配りを意識しながらこれも又、自身の立ち位置で一人遣いに没頭しておりました。
明日から第九クールが始まる廣川君は入院用意の為に少し遅れそうでしたので、礼法を行ない、早速基本稽古に入りました。先ずは若輩ながら先輩の小林君から懸かって参りました。ここ最近目立ってきた、少し重目の打ちを繰り出して参りました。プロレーサーとして欠かせない平素のトレーニングの影響が明らかに剣遣いに出ております。無論良い意味では有りません。しかしこれも又自身で気がつき自身をコントロール出来る事を信じてその時を待つ事としました。
関戸君は一人遣いの時には、可也剣を伸びやかに遣えるように成っておりますが、打ち込みになると流石にそうは参りません。自身の限りを遣う様に繰り返し繰り返し沢山の汗を流して貰いました。そのあまりの汗の量に、遂に今回は正面、順逆で終わりとしました。
基本稽古の汗を拭いながら、口を潤し、三学に入った処で、入り口から子猫が忍び込んで参りました。無論一人目を遣い終えるまで確りと息を潜めておりました。やはり重たさの弊害が合擊に出ておりました。どうしても遅れて仕舞い、低い当たりになっておりました。そして二の斬りも鈍い。ここはやはりレースと同じく踏ん張り処でありましょう。
関戸君は合擊は無論でありますが、特に二の斬りに問題が多々有ります。何故にか暴走する太刀筋に今一度その理を解き、自身のコントロールを求めました。
三学を遣い終えた処で、やっと子猫が人と成りました。皆と挨拶を交わしながらそそくさと所定の位置に納まっておりました。明日に向かう心意気の侭に、礼法、基本稽古を所望してまいりました。平素なら続くわけもない筈の正面、順逆を渾身の気迫で遣り終えました。そして続いて三学を所望する気迫に皆ビックリで有りました。その三学も男衆達の手本になる出来を示しておりました。二度と訪れる事のない延岡でのあの一本の余韻(合擊)、そして見事な連れ拍子の二の斬りでありました。斬釘の勝ちも確りと制する遣い方になっておりました。本人曰く何やら二の斬りに新たなる手応えを得ているとの事でありました。(果たして何時まで続くことやら・・・)。
その後九箇、小転を遣い合いました。相手によって拍子を変え、手を変えながら遣い合いました。小転においては時に木刀、小太刀を持って遣ってみました。思いもせぬ小太刀の羽音、威力に目を白黒の関戸君でありました。
繰り出し稽古の取りは、無論廣川君の燕飛であります。早く復帰をして欲しい、したいとの思いは皆の共有では有りますが、今までの経験では二週間は副作用に苦しむのが常でありますので、その苦しみを振り払うように戦いに臨む気迫を前面に出し、木刀で必死に遣う廣川君で有りました。小生も浦波では、魔を祓うが如く羽音に祈りを込めて遣いました。心地良い拝み打ちで静かに納まる師弟で有りました。
最後に時間まで抜刀を抜き合いました。どうしても速く振りたがる関戸君を制しながら、今は只大調子での振りを求めました。
稽古後は送り出しの歓談を食事を共にしながら行いました。支払いの段になり何と小林君が(今日は自分が・・・)と支払いを済ませておりました。平素世話になっている先輩への激励の心配りでありました。これも又確りと大人への道を歩んでおります。
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