今一人が少し遅れそうで有りましたので、関戸君用の座礼を行いました。その際に先輩たちにはすでに授けて有ります手作りの小太刀を授けました。これで確りと小転の稽古に励んで貰います。その後は無論当会恒例の基本打込みに入りました。小林君の打ちも少しずつ嫌な重さが取れつつ有ります。しかしながらその長い手足をいまだに持て余し気味で有ります。踏込みの際にまだまだ体が安定しません。先ずは鍛錬の鍛であります。千日の稽古有るのみです。特に相懸けが入ると太刀筋が乱れる処は近々の急務であります。関戸君の序盤は、一人遣いの気配さえ出無い打ちで有りました。人を相手にする難しさに四苦八苦しておりました。しかし其れも、苦悶の表情で汗を流して行く間に少しずつ打ちとして成果が顕れて参りました。正面打ちでは数本良き手応えが出ておりました。それもまた順逆に入ると元の木阿弥となる事を繰り返しておりましたが、之も又稽古の回数が解決してくれます。強ばって動きにくく成った腕を悲鳴をあげながら気力を振り絞りながら奮闘しておりました。
基本稽古で確りと汗をかいてもらった処で廣川君が駆け付けて参りました。熱いお茶で一服と成りました。小林君の見つけた動画をお茶の友とし、延春先生との在りし日のやり取りを然りげ無く披露しました。先生の照れた様な破顔が懐かしく思い出されました。その間に剣道着にキリリと着替えを済ませた廣川君が最初から其処に居ましたと言うような顔でチャッカリと坐ておりました。
兵法に入り、先ずは先輩から後輩達に見せつける様に一日の長が有る合擊、二の斬りを繰り出しておりました。ユガケの力も遣って、良き手応えを感じ合う事が出来ました。長短一味も確りと体が出ておりました。その後の九箇では特にクネリ打ちの威力、怖さを確りと関戸君に味わって貰いました。避ける事も出来ないその打ちを喰らいながら(押忍)等と空手の様な声を発して、その真髄を味わおうと奮闘しておりました。皆、痛い思いをしながら想像ではない現実の技を確りと身に付けて貰います。
先輩には下からを遣って貰いました。取り上げ大好き当会でありますので、下からは毎回遣う訳では有りませんが、無論無視できる勢法でも有りません。趣の違う勢法を楽しみました。
最後は手直しの済んだ愛刀を遣っての抜刀であります。皆が其々の課題を抱えながら、しかし着実に物にしてきております。納刀が良くなると斬り、振りも良くなって参ります。確りと納め切るまで気を込めて貰いました。