広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

平日稽古会

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七月二十二日の平日稽古会を行ないました。梅雨明けとともに猛暑が襲来したこの日は、夜になっても道場内の温度は尋常ならざる物で有りました。そんな中、東北でのレースを終えて、小林君が稽古に出向いて参りました。ますます日に焼けたその顔には、厳しい状況で戦い抜いた余韻が漂っておりました。本来は静が持味の彼でありますが、マシントラブルを抱えながら、それでも思うにまかせないマシンのパワー不足の状態を諦めない気力と自身の持つ技術の総力を出し切り戦いぬく事で自然に出た、彼の新しい一面である荒ぶる気持ちが、戦い終えて数日たつこの日の道場でも醸し出されておりました。
 
一人遣いを終えて、座礼を行い、早速始めた打込み稽古の一打、一打の手応えにあらたなる手応えを感じる小生でありました。これまでも次第に鋭くなってくる手応えは有りましたが、本日のそれは明らかにある種の気が込もっておりました。苦しい状況で、頑張り抜いたレースで得た、自身で今まで気がつかなかった別の特性が表現されておりました。
 
そして兵法に移り、三学を遣い合いましたが、一刀両段の二の斬りにおいてこれまでにない踏込みが飛び出して参りました。ドンと踏み込んだ感触と音は師弟共々生涯忘れることのない共有出来る感動でも有りました。5本を一つとして遣い切った後の精根尽き果てた様子とは裏腹に何とも言えない満足感を漂わせておりました。そして遣っている最中の三角に成った目つきもまた、彼にすれば初めての様相でもありました。作為せずでた事で有りますので、ひとつの過程として素直に喜ぶこととしましょう。
 
丁度二年前、何処からともなく、何かを求めて訪ねて来た若者が今では確りと当会に根付いております。そして自身の置かれた過酷な戦いの中で剣の修行を欠かさずに、得がたい手応えを自身の物として掴みとりながら、レースと剣の修行とを見事にミックスアップさせております。自身の修行を通しながら、弟子の真の上達に立ち会える・・・・これに過ぎる喜びは有りません。
 
今後も謙虚に只々師弟共々の精進あるのみであります。合掌!