広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

九月第一日曜日稽古会

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九月最初の日曜稽古会を行ないました。英信館60周年記念大会での演武以来、業務に忙殺されていました大阪の野原君が、稽古に飢えた状態で出向いて参りました。広島での大災害も未だ終息を迎えるに至ってはおりませんが、当道場の稽古は先週から何とか再開しております。道場すぐ傍の裏山はまだ抉れた山肌を見せたままであります。災害の一日でも早い復旧を願いながら、稽古に勤しみました。野原君は久しぶりの五月が丘の道場の雰囲気を先ずは、一人遣いで心ゆくまで楽しんでおりました。平素の彼の大阪での一人稽古を想像しながら遣い方を観ておりましたが、二三見過ごす事が出来ない点が有り、正す事に致しました。その後は言葉を控え、只彼の取り組みを見守りました。随分と涼しくなって来た道場でしっかりと彼が汗をかいた頃には、随分と様になって来ておりました。彼も一節機を越えました。一皮むける時期を確かに迎えております。
 
礼法を行ない、基本稽古となりました。人に対する難しを確りと認識して貰いながら、一人では流せない汗をドップリと流して貰いました。流した汗の量は嘘をつきません。流した量ほど必ず実になって戻ってまいります。本日の打ち込ま竹刀は、数十年の太い物を遣いました。太く重い物を、相手に感じさせないように軽やかに遣って見ました。打込み稽古の後の野原君に持たせて見ましたが、その重さに驚嘆しておりました。今まで遣っておりました基本稽古を受ける際の竹刀がそろそろ成仏しそうでありましたので、急遽遣ってみましたが、面白き試みで有りました。
 
兵法に入り三学を遣い合いました。遣い終わって今、彼に最も不足している呼吸法での遣い方の直伝を施しました。之も又一節機を超えるためのその一であります。打ち終えて小生が感じ、施すことにした勘所は間違いではなかった様であります。暫しの間に、黙々と行う彼の様子が確かに違って参りました。その後、九箇を遣い終える頃、廣川君が出向いて参りました。
 
数日前の検査の結果で少し気になる処が有り、少々ガッカリした心身に何とか気力を喚起し、乗り込んできたこの日でありました。三ヶ月ぶりに顔を合わす兄弟子に、それでもいそいそと湯布院合宿をお土産を渡しておりました。暫し、お茶で歓談し、三学を所望する彼女でありました。心に受けたショックは微妙に太刀筋に影響しておりました。珍しく合擊に僅かな乱れを伴っておりました。しかし、二の斬りの連動は見事で有りました。本人は切先の納まり所に不満が有る様でしたが、軸を中心とした両肩の回転は、野原君を唸らせておりました。その一本で精根尽き果て、後は兄弟子の稽古に譲っておりました。それを感じてか、野原君も何時もに増して試合勢法に熱く取組んでおりました。中段、雷刀打中下段を遣い合いました。
 
その後、歓談も挟んで抜刀を抜き合い、直伝稽古を終えました。新たに始まる戦いに思いを寄せながら、戦いに臨む愛弟子、兄弟弟子への思いを少ない言葉で伝える男二人で有りました。第二ラウンドへの戦いにいざ行かん!