広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

九月第二日曜日 送り出し稽古会

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九月第二日曜日の稽古会を行ないました。本来なら参加予定者の多い前日土曜日に行う予定でしたが姪の突然の訃報がはいり金曜日から山口に出向いておりました。36歳の姪の突然の死は、この世の無常を想わずにはおれませんでした。明日に何がおこるかは誰にも判りません。姪の死は、現在只今を只々必死に生きるしかないとあらためて教えてくれました。本日の稽古会は、廣川君のあらたなる闘いへの送り出し稽古ですので、何があっても外すわけには参りません。稽古日の変更で参加者は減りましたが、出来る者達での送り出しとなりました。
 
早めに到着し、黙々と一人遣いをする永原君の様子を本日は言葉を添えずに見守りました。求める事を確りと認識しながらの一人遣いでありました。朝夕はめっきり涼しくなって来た今日この頃ではあリますが、この時間に成りますと彼が汗を拭うにはさして時間は懸かりませんでした。木刀の柄の部分も拭いながら黙々と振り込んでおりました。
 
皆が揃うまでに少し時間が有りましたので、礼法は揃ってからとし、基本稽古に入りました。打込みは前回野原君が出向いてきた時に遣いました昔の太い蟇肌にて受けました。正面、順逆の左右太刀そして相懸け返し流しと基本の打込みを続けました。順逆の精度の差は有りはしますが、彼の打ち込みも確りとして来たものであります。二度の演武を経て、日頃の稽古がある種の実りの時期に来ていると感じました。
 
その流れで三学、九箇と遣い合いました。この処自信を持って来た二の斬りには少々乱れが有りましたが、合擊においては最後の長短一味において初めての手応えを出しておりました。平生より深め打込んだ小生の打に対して、怯む事無く、でも気負わずにスカッとした打ちを繰り出して参りました。得も言われぬ心地良い手応えに、彼の鼻の穴も何時も以上に大きく開き、満足の大きさを如実に現しておりました。師弟共々至福の一瞬でありました。その後、最近は控えていた八勢を遣ってみました。案の定、久々に遣い合う八勢ですが、明らかな上達が見て取れました。意図として避けていた成果が現れておりました。シメシメであります。
 
その頃やっと本日の主役が出向いて参りました。途中の立ち寄り先で、企みをくすぐる物を見つけた様で有りました。駆けつけの一杯で喉を潤し、ハワイのお土産ですと差し出したマカダミアンナッツは裏を見ますと・・・日本製となっておりました。・・・。
 
皆が揃ったところで礼法を行いました。確りと呼吸法を共にし、一つと成り、座礼を行いました。そのまま小生だけが座を移し、廣川君に今回以降の戦いへのお守り(小太刀)とお見舞いを渡し、早い復帰を願う旨を伝えました。無論皆の気持ちを代表しての物であります。
 
前回は体調の加減で三学一本で尽きてしまった彼女でありましたが、本日は三学、九箇、小転と気力を振り絞って遣いきりました。心地良い合擊と良い連動の二の斬りを見せておりました。気を注入する為に村雲では大調子の一つの太刀で優しく小手に打込んでおきました。見えるのに打たれてしまった太刀筋にニヤリとする廣川でありました。感の鋭い彼女の事ですから何やら掴んでしまったのかも知れません。次回から油断出来ません。
 
最後に抜刀を抜き合い、本日の送り出し稽古を終了しました。永原君にも合宿で制作しました竹刀をその後廣川君、小林君の手を借りながら完成させておりましたので、手渡しておきました。これでますます励んでくれる事で有りましょう。場所を第一楼に移し、送り出し稽古の締めを行い、散開としました。