広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

10月最後の稽古会

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平成27年10月31日、この日で10月も終わりで有ります。今年もあと二か月、何とも月日の経過の早い事かと、皆同様の感想を漏らしておりました。何処ぞで秘密の訓練をしていた様子の齋藤君も元気に出向いて参りました。何時も眠そうな永原君は、この日は比較的に平生の様子で有りました。一人遣いを始めるやいなや、齋藤君の袴の着付けを正す事となりました。先ずは三年修業を続けねば、着付け一つを取っても身に付くものでは有りません。昔の軍隊や現在の自衛隊の様に速成は有り得ないのが武道で有ります。得物を遣う事だけでなく、立居振舞全てを確りと身に付けて行って貰います。博文約礼の意有りであります。
一人遣いを気の済むまで行なって貰い、礼法の後に基本稽古に入りました。始めて早々に、乱暴に振り回して来る永原君に、その粗暴な遣い方を戒めました。あれでは修理したばかりの竹刀がまた壊れて仕舞います。蟇肌竹刀は単なる棒では有りません。もっと慈しみを持って遣うように求めました。相変わらず順勢が狂っておりました。しかし彼なりに自覚していると思いましたので暫し様子を観る事としました。齋藤君は、この初学の段階で有るにも関わらず、やはり早く打とうとしておりました。ですから機械的に独り善がりに成ってしまいます。教練に成って仕舞います。そこの処の違いを諭しました。無論、今の段階では真に理解できてはおりませんでしょう。それでもおりに付けて説いて参ります。その内に必ず理解できる日が来ます。
そうこうしている内に廣川君が、土産を携えて駆けつけて参りました。暫し一服のお茶の時間としました。近況を語らいながら暫しのひと時を共有しました。
兵法に入りまして、先ずは三学を皆で遣い合いました。永原君は、やはり基本稽古の時の様子が二の斬りに出ておりました。定まらぬ剣先に四苦八苦しながら奮闘しておりました。齋藤君は、これも又基本稽古の時の雰囲気が急に正される訳もなく、急ぎ打ちを叱責されながら汗を流しておりました。
この日の白眉は何と言いましても廣川君の長短一味の合撃でありましょう。一本前の左転の打ちで、肋一寸の見切りを取り損なって、掻っ捌かれた腹の痛みが逆に心に火を着けて、生涯初と言って良い、燃えるような気を発して合撃を打込んで参りました。その激しい当たりを何とも心地良く感じ合う師弟で有りました。まさしく火花が散る様が確かに感じる事が出来た当たりで有りました。此の激しさの有る気当たりは、彼女に取りまして生涯初の感触で有りましょうが、遣い終わりまして、小生に声を掛けられるまで何と感じていいのかと困惑している様でも有りましたが、褒めらて初めて、喜んでも良いのだとでも感じたようなふうを呈しておりました。無論、共に喜び合うべき大切な瞬間で有りました。
20回目の戦いを終えたご褒美でもあったかもしれません。