広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

新年、道場初掃除

平成29年1月22日、昨年10月より耐震工事の為に使用できませんでした道場に新年初めて訪れました。好美君の喪に服する為に2月19日の追悼稽古始めまでは、稽古を休みにしております。しかしながらその間、道場をほったらかしには出来ませんので、小林君と共に掃除に訪れました。
正面に仮に飾った箱は、好美君が病の苦しみの中に有りながら、当会稽古始めの為に用意してくれていた鏡餅で有ります。自身が耐え難い苦しみの中に有りながらも、広島柳生会の為に用意してくれていたのです・・・泣けて泣けて堪りません。
昨年、彼女がしてくれたように・・・無論、箱から出すのは、皆が揃った時でありますが、正面に置き、二人で黙々と掃除を致しました。
耐震工事の終わりました道場は、天井板が取り払われ、その空間が倍にも広がった様な趣を放っておりました。この場に廣川君が居ない事の事実にあらためて寂しさを感じる二人で有りました。しかしながら確実に道場内に残り存在する廣川君の気配を確りと感ずる二人で有りました。
この道場で稽古する限り、廣川君は我らと共に有りと意を強くする二人で有りました。否、恐らく彼女は、一門の稽古の場には、常に共にあると思います。
あの日、臨終の場で皆で共有した、息を引き取った後に感じた息せぬ廣川君との呼吸の同調は、魂の存在の再確認でありました。遅れて駆けつけた小林君も(確かにあの時に廣川さんは、居ましたよね)とこの日の道場で呟いておりました。とその時に(私は、此処に居ます)と道場に響きわたる彼女の声が私には、確りと聞こえました。