広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

11月最初の日曜日稽古会

平成29年11月5日、11月最初の日曜日稽古会を行いました。この日は、野原君が大阪から出向いて参りました。ここ数か月職務に忙殺されて稽古に出向く事に困難を極めていた様ですが、この日何とか時間を作り出向いて参りました。
延び延びに成っておりました廣川君の形見分けの儀を執り行いました。道場の正面で出迎える廣川君に土産の品を供え乍ら、静かに涙する彼の姿に目頭が熱くなる一門で有りました。
一門の中では、廣川君とは最も永い触れ合いを持つ彼に好美君の愛刀を託す事と致しました。確りと彼女の魂の籠ったこの御刀を慈しみそして修業の友として励んで行って欲しいと切に願って、彼に手渡しました。正面の写真の中の廣川君もニッコリと微笑んでおりました。(野原さん、宜しくお願いしますね)と声が聞こえて参りました。
彼女の形見の品々が少しずつ小生の手元を離れて、彼女の兄弟弟子達と親しかった武道仲間のもとに行って仕舞いました。ホッする安堵感としかし、一抹の寂しさは隠し様が有りません。しかしながら、これで良かったのです。これで彼女の志、思い、記憶は生涯彼ら彼女らの中に育まれてまいります。そう確信しております。
形見分けの儀の余韻の儘に、稽古を行いました。好美君の想いが乗り移った様に、野原君、小林君に生涯初めてと言って良い合撃の痺れる様な良き手応え、感覚が飛び出しました。魂を奪われたような溢れる喜びと驚きを湛えた彼らの表情に接しておりますと廣川君が初めて合撃の真の手応えに接し、喜びの余りに思わず満面の笑みを湛えて、小生に送った、親指を突き出したポーズ(よし!)が頭の中に蘇って参りました。
その場に同席しておりました藤中君の呆然とした様子と共に常に思い出す感激を共有できた小生の宝の一つであります。
稽古の最後の時間は、真剣で抜刀で締めくくりました。これも又の野原君が廣川君の愛刀を受継ぐ魂入れの儀と相成りました。
稽古をおえて、余韻のままに恒例の第一楼での歓談と致しました。出窓の一角に飾られた廣川君の写真と共に行う食事会も店のスタッフの方々にも普通の馴染みの事と捉えらており、何時もの様に専務がニコリと写真の廣川君に微笑んでおりました。