広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

3月第二日曜日稽古会・・・廣川君形見の愛刀と共に

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廣川君、形見の愛刀

令和三年3月14日、この日の日曜日稽古では、廣川君の形見の愛刀(因州住兼次)を心行くまで遣わせて貰いました。好美君はありし日のある時、小生の許に何かに導かれる様に訪れ、弟子入りし、その際に呉の福永刀剣店にてこれまた運命の出会いをして手に入れたお刀であります。それからおよそ10年、修行の友として常に高め合ってきた一振りであります。廣川君の分身と言って良いお刀であります。

苦しい闘病の中でも常にこのお刀と共に稽古に励み・・・最後まで復帰を信じ戦い抜き・・・一人静かに旅立って行った愛弟子・・・自身の命の尽きる事を悟り、お母さまに(もしもの時は、この刀は先生に渡して下さい)と言葉を添えて・・・託しておりました。お母様からご自宅でその言葉と共に彼女の愛刀を託された時は・・・涙がとまりませんでした。好美君を失った事は小生にとっても一門にとっても耐え難い悲しみでありました。

しかし、今は只々、彼女の志を引継ぎ、稽古が何よりも好きだった好美君を手本とし、稽古に邁進するばかりであります。稽古あっての我ら一門であります。軽々に稽古を疎かにする事など有り得ません。未熟な弟弟子達はそこの処を何と感じているのか・・・今一度生きた手本の姉弟子の生き様を見習わねば罰が当たる。体調の具合が悪かろうと道場に出向く事が出来るなら来るのが当たり前・・・修行は・・・掃除1つも修行である。

廣川君と共に真剣を遣い、基本刀法、本伝の太刀、制剛流抜刀を心行くまで遣い合いました。兼次も心地よさそうに涼やかな刃音を出しておりました。その刃音を聞き・・・あの零れる様な笑顔の好美君でありました。

日記