広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

三月第二日曜日稽古会

イメージ 1 三月も第二週になりますと日差しが途端に春めいて参りました。車の中などは暑いと感じる程であります。しかし当道場は、山裾のすぐ傍でありまして、外の日差しも中まで入ることは無く、春めいた外界とは趣を異として、まだまだ冷気に満ちております。道場の中では寒稽古を継続中と言う事であります。

当初は参加予定でありました関戸君は家族のインフルエンザの為に急遽欠席と成りました。これは致し方のない事であります。自身にも影響がない事を願っております。今一人、今シーズンのインフルエンザの先輩であります永原君はマスクを付けての参加と成りました。少し参加の遅れる先輩の到着を待ちながら、確りと基本稽古を行いました。毎回感じる事では有りますが、若者二人の新陳代謝の良さには驚かされます。基本打ち込みの繰り返しとは言え、冷え切った道場で見事な程の汗を流して見せます。皆を相手にしながら、その陽炎が立つような熱気には嬉しくもまた驚きを禁じえません。自身の同年代の頃を思い出しながら、少しニヤつく小生で有りました。

三学を打ち始めた頃に、思いよりは早くに先輩が、ヒッソリと入場して来ました。無論稽古中で有りますので気配を感じただけでありますが、彼女もまた稽古の邪魔に成らぬ様に気配を消して、子猫の様に忍び込んで参りました。前回の小太刀の良き影響が、直様現れておりました。僅かに手首に出ていた力みが、今回は見事に消え去っておりました。そこから繰り出す二の斬りは、三本共に見事な連拍子を観せておりました。良き踏込みの音と共に、その良き余韻が何時までも良き感触として手許に残っておりました。三学を打ち切った処で忍び込んでおりました子猫先輩と暫し挨拶を交わして、礼法、基本打込みを行いました。明日の血液検査の結果までは摺足と決めているのか、はたまた摺足に興味を得たのか本日も摺足でありました。その余勢で三学も又摺足で有りました。しかしこれが又良き手応えでありました。特に二の斬りの連動は見事でありました。敢えての摺足はこれが遣いたかったので有りましょうか。何やら予感が有ったので有りましょう。これも又良しであります。

その後、九箇、燕飛と遣い合いました。其々に成果と課題が有る遣い合いでありました。前回の延長でその後は、小転に移りました。何やら面白さに目覚めた先輩は来年の話まで持ち出しておりました。そう言う意欲は大歓迎で有ります。しっかりと意欲を持って取り組んで貰えれば幸甚で有ります。

最後に真剣で抜刀を抜き合い・・・と言う事にして、本日の稽古は終了としました。稽古後は今回三回忌を迎えた村山さんのお参りに伺いました。あれからもう二年が経って仕舞いました。闘病中も入院していない時は、何時もの時間に成ると静かに出向いてきて、剣道形を二人で打ち、地稽古を行い、暫しの剣談をし帰って行く。副作用で如何に苦しくともその苦しさを噯にもださずに日々の稽古を淡々と行っておりました。同席した廣川君もその姿に痛く感激しておりました。今同じ状況に置かれて村山さんの生き様は正しく今一人の師の姿でありましょう。苦しく不安一杯であることは同志は皆判っている。一人ではない。確りと生き抜きましょう。