広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

三月最初の稽古会

イメージ 1 三月最初の稽古会を行ないました。昨日は他の団体に昼間の稽古時間を譲ったために、土曜日としては久々の夜稽古となりました。勤務やら病気療養中の者を考慮し、新陰流の稽古は行わずに剣道の稽古会を行ないました。土日に剣道の者達を受け入れるのは久しぶりでしたので、皆おっとり刀で出向いて参りました。それぞれの道場での指導稽古を終えて、久々の大人の稽古会を皆楽しんでおりました。無論、当道場では地稽古の前には剣道形を行ない、打込み切り返しを遣い合います。おそらく平素の道場では形稽古を行っていないのでしょう、皆突然の形稽古に冷や汗を流しておりました。形と地稽古が剣道稽古の両輪です。真の剣道を目指すなら当然であります。

日曜日は何故か到着が遅れ気味の先輩の心配をしながら、永原君との基本稽古から行っておりました。最近特に手応えを得ている踏込みに気を込めながら、その全体作用の連動を求めました。正面のみならず、順逆においても確りと気が剣先まで行き渡るように求めました。相懸けが入ると途端に左右に体が振れてしまう捌きにも気を込め、正すことを求めました。今の内に確りと汗を流し正しておかねば、誰かさんの様に遅きに失して仕舞います。若い時に身に付けておかねば成らぬ事も剣の世界には有るのです。中々到着せぬ先輩を尻目に、兵法に移る事にしました。先ずは三学を気一杯で遣い合いました。良き踏込みでありましたが、今回は連動と言うことであれば、剣先の納まりが今一つで有りました。僅かに手首に力みが観られました。何やら雑念が入ったのか・・・仕事の不安でも頭を過ぎったのかもしれません。僅か五本の太刀を無心で遣いきる難しさでもあります。ですから常に呼吸法に気を凝らし、気一杯で遣いきる事を求めるしか有りません。その後、九箇、中段と遣い合いました。八重垣の体捌き、村雲の拍子・・・課題は多々有りはしますが、全体的には非常に良き雰囲気に成ってきております。そこまで進んでも来ぬ先輩に業を煮やし、小転の伝授に移りました。これは今少し太刀の勢法を伝授してから行う物でありますが、良き踏込みからの両手太刀の連動に難儀している彼の現状を考え、あえて片手太刀の小太刀を遣わせる事としました。相乗効果をきたいしての事で有ります。身体全体を遣っての小太刀に威力に少し驚いた様子の永原君で有りました。小転を三本伝授した頃、先輩が息を切らせて駆け付けて参りました。

本日は体調不良で休みかとも思っておりましたが、諸々の雑事をこなしてきたと言い張っておりました。・・・・無理やり信じる事としました。駆付け三杯ならぬ、駆付け三学を遣い合いました。無論、本日も摺足で。暫く体調を考慮して遣う摺足の三学にも確りと手応えを得ている昨今でありますが、今回の三本の合擊は其々に良き手応えでありました。しかも三本が三本とも微妙に違う手応えでありあました。しかし違う手応えであっても、其々に良い感触が手に余韻として残る物で有りました。本人は当たりの感触から2本目を一番と感じたようですが、日本刀で遣う事を思えば、やはり一本目の感触が一番で有りましょう。二の斬りは一本目の連動が見事で有りました。気の満ちた良き一本でありました。そろそろ本来の踏込みに戻っても良いかもしれない雰囲気を醸し出しておりました。その後は小転の伝授を行ない、勢法を終了しました。

残りの時間の許すまで抜刀を抜き合い、本日の稽古を終了としました。僅かな時間でも、一本でも打てる時間が有るならば、駆け付けて来る気やよしで有ります。これならば宮崎の演武も心配有りませんでしょう。倒れるまで遣い切ってくれる事で有りましょう。