広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

二月第三土日稽古会

イメージ 1 二月の第三土日稽古会を行ないました。この二日間は主要メンバー全員参加の予定でありましたが、若者二人がインフルエンザやそれに似た症状で共に欠席となりました。しかし退院以降20日間、自宅療養中でありました廣川君が僅かに残る不定愁訴を物ともせずに出向いて参りました。本人は勿論、皆に取りましても永い永い二十日間でありました。今回の第八クールは入院中から副作用に悩まされて、退院後も中々回復せずに辛い日々の連続であった様です。それだけに今回やっとの思いで出向いてこれた道場に入ると、感慨一入の様子でありました。(やはり道場は良いですね)との一言に万感の想いがこもっておりました。小生も心の中で只々頷くだけでありました。

最近、良き手応えを得ている若者達が欠席の様子には少々残念な雰囲気でしたが、それでもすぐさまに鏡に向かい、一人黙々と木刀を慈しむように振っておりました。振れば判る自身の身体の様子に少し驚き、がっかりし、不安を感じている様子でしたので、一言言葉を添えておきました。そんな心配、不安は稽古がたちどころに取り去ってくれます。得物は筋力のみで振るにあらずです。寧ろそれ以外の事が大切です。これも又天の采配と想い、今自身が出来る稽古を行うだけで有ります。さすれば元気な時では味わえない思わぬ感触、手応えを得る事もあるのです。

稽古復帰の一本はやはり基本打込みを所望する物で有りました。正しい正面打ちを求めて、摺足での打ちを願う弟子で有りました。血小板が極端に減少している現状では正しい選択であると感じました。これまでは復帰の打込みは道場中程で尽きておりましたが、この日は確りと往復をこなし、更に右足前の打ちに(打ちたい)との思いが強すぎると感じたようで、今一往復を求めて参りました。闘病中でもその感覚は鈍ってはいなかった様です。納得がいった処で温かいお茶で喉を潤し、入院中のことやら皆の近況を少し説明し、道場内での自身の空白を埋めているようでありました。その後、基本稽古に戻り、順逆を振れる事の現状に瞳を輝かせて、喜々と無心に振り続けておりました。嬉しい光景でありました。

兵法は無論、本伝の太刀のみを遣い合いました。摺足で行うことを伝えておりましたが、車に取る遣太刀に歩み懸けて行くうちに、踏込みに来る気を感じて、思わず雷刀から踏込みの一打を繰り出して仕舞いました。遣太刀も自身の体調を考え、摺足で応じるつもりが、思わず踏込みを繰り出す自身に自分が驚いておりました。今一度、摺足で遣い合う事を再確認して、遣い合いました。伝授を始めた頃に戻り、遣いあった三学は思わぬ感激の一本を遣い合う事と成りました。今にして思えば遥か前に思える真の合擊の手応えを感じて、思わず左の親指を(よし!)とばかりに突き出してきたあの時の事を思い出しました。無論その感触は年数を重ねて進化しておりました。やはり春は確実に近づいているのです。嬉しい嬉しいひと時でありました。教習の醍醐味の取りは、やはり確りと好美君が取ってくれました。

その後、燕飛も遣いました。浮舟は体調を考えれば、手裏剣打は有りえませが、何故にか投げていた小生で有りました。然程にあの合擊の感触が心地よかったので有りましょう。弟子も見事に撃ち落としてくれて事無きをえました。めでたし、めでたし!
本当に嬉しい稽古復帰の二日間でした。得難き手応えと復帰の嬉しさに元気の出てきた先輩はインフルエンザに倒れた若者達に(だらしない)との言葉を残して、意気揚々と返って行きました。・・・・・。