広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

12月西宮高段者稽古会・・・今年最後の三人稽古会

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西宮中央体育館 剣道場

令和三年12月22日、今年最後の西宮遠征を行いました。先月11月より二年振りに再開した高段者三人稽古会の為であります。形稽古(日本剣道形)から始めました稽古会も先月からは、小生の申し出で地稽古も行う事と成りました。平素の形の研究、修業の検証、次なる課題の発見の場としての大切なひと時であります。其処に、地稽古も加わり、自身の剣道修行の一服の清涼を求める場と成っております。

形稽古では、先ずは何時もの様に仕太刀を遣い、次に相手を変えて打太刀を遣いました。仕太刀では前回の反省を踏まえて相手の打太刀のせっかちな所作に合わせ過ぎない事を念頭に遣ってみました。しかし・・・これは失敗。仕太刀としては、如何に打太刀が端折って遣っても、せっかちに遣われても、少しの不満を押し殺して合わせるしか無い様で有ります。平素の充実感は得られなくともこの彼我との関係でのその場の最善を尽くすしか無いと感じいりました。

仕太刀での充実感の不足は、打太刀で取り返す事は出来ました。打太刀での方が主体性を取りやすいと言う事はありますが、休みを挟んだとは言え二年の稽古の蓄積を感じる形でありました。特に太刀の三本目は突きからのナヤシにおいて互いの木刀が吸い付くような手応えを得る事が出来ました。このお相手とは初めての手応えでありました。

地稽古では、この日も小生がお二人をお相手する形態と成りました。形稽古と地稽古の融合を求めての稽古であります。別物と成らぬ様に、地稽古特有の攻めを施しながら技は形稽古の様に・・・応じ返し面、返し小手、相手の振りかぶりへの小手打ち・・・特に振り被りが大きいお二人には、その時の小手を捉えるか、胴に変わるか・・・瞬時の捌きが求められました。

絞りに絞った先々の先の技は、この日は片手突きと成って飛び出しました。攻め込もうとしても剣先に弾き返され、応じ返され、攻め返され打ち取られ、ますます強くなる剣先の攻めに耐えかねて、僅かに間を切ろうとした瞬間を捉えて剣先の軌跡が見える片手突きが、相手の咽喉部に突き刺さっておりました。思わずお相手から(参りました)と声が発せられた処で本日の地稽古の終了となりました。之の術理は、剣道形三本目であります。打太刀が仕太刀の勢いに負けて思わず間を切ろうとする処を切らせずに仕太刀が追い込んで顔の中心に剣先を附ける・・・この術理の応用の一本で有りました。稽古の後の反省会で(剣先が飛んで来るのが見えていましたが、避ける事が出来ませんでした)と言われていた言葉が印象的でありました。正しく彼我との契約が成り立った形稽古の様な一本で有りました。