広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

二月第二日曜日稽古会

イメージ 1 二月の土日稽古会は、金曜日の夜稽古から次の土曜日と広島市内では珍しい10数年振りの大雪で中止とし、この日曜稽古のみとしました。旧市内より標高の高い当団地では行き帰りの安全を考慮しました。その判断は正しかった様であります。団地近くにインターが有ります山陽道をはじめ、都市高速もすべて一日通行止めと成っておりました。温暖な瀬戸内海に面した広島では最近記憶にない数日で有りました。今年は特に寒く、雪の舞う日が多いシーズンであります。通って来れるならば道場は正しく寒稽古を行うには最高の状態になっております。そう言う意味ではこの日は道場に入った瞬間から清々しい気持ちにさせられ、何やら予感めいた物を感じる小生で有りました。

ここの処、休日出勤が多く殆ど土曜日に稽古に来れない永原君も昨日は参加できるはずでしたのにその様な状態となり、愛刀との出会いを経て月下での素振りを繰り返している関戸君と勇躍乗り込んで参りました。其々に思いを持ち、込めて来ている者達も本日の道場の気配は格別の様で有りました。其々に手土産を渡し合い、小生も初詣のお祓いの際の厳島神社のお守りを手渡しました。後は大阪の野原君に渡せば皆に行き渡ります。18日には出向いて来る旨、連絡が入っておりますのでこれで参加できなかった者にも全て渡す事が出来ます。

先ずは一人遣いで平素の課題や疑問を確かめながら、黙々と木刀をユッタリと振り込んでおりました。平素から稽古の反省やら一人遣いの印象をメールで送ってきておりますので、ポイントを掴んで一言ふた事指導を行いました。その後座礼を行い、基本打込みに入りました。冷蔵庫では無く、冷凍庫と化した道場で確りと汗が滴り落ちるまで打込みを繰り返しました。力みを取り去り、体捌きを習得するには数限りなく師弟共々での基本稽古を繰り返すしか方法は有りません。すっかり温まった心身にいま一口熱いお茶を入れ、今回は少し座学の時間を持ちました。皆其々に興味を持ちながら聞き入り、時間の経つのを忘れる程でありました。

兵法はスッカリ温まった心身で本伝の太刀を遣い合いました。こう言う時は激しく遣う試合勢法が最適と思いがちですが、真の稽古はやはり本伝の太刀、特に三学の取り揚げにあります。この様な深々と冴え渡った道場で、体の芯から暖かくなる様な呼吸法を行い、遣い合う三学は格別で有ります。その小生の気に呼応するように永原君が格別の合擊を繰り出して参りました。おそらくその時の小生の顔の表情は自然に緩んでいたはずです。然程に得がたい手応えを共有した一瞬でありました。心地よい合擊からの二の斬りもここのところの暴れ気味の剣先もすっかりと影を潜めておりました。そしてこれまでにない一撃は斬釘にも現れました。どうしても掴みきれてなかった付ける拍子を初めて知る一撃で有りました。この時にも小生の表情は・・・・・・・・。至福の一時で有りました。前回の小林君に続いて彼もまた負けじと得がたい手応えを得た稽古でありました。

関戸君は遣うべき要領を頭の中では理解しつつ有る段階であります。今までデタラメに振り回す事で付いてしまった悪弊を一つ一つ剥がし、正す事に集中する毎回であります。平素の一人遣いでの様子が良く垣間見られて、良き方向に確実に進んでおります。しかし時として自身の思いと違う発作打に苦しみながらの毎回であります。本日授けた入門の証の小生手作りの蟇肌竹刀はそれまでの細身の本伝用の物ではなく、本来試合勢法として渡しましたが、現状では本伝の太刀を続けた方が良いと判断し、本日から九箇の初太刀を伝授する事にしました。基本稽古で行わせている左太刀が勢法として遣おうとすると侭ならぬ様で四苦八苦しておりました。それも又当然であります。基本の準備をさせていたとは言え、遣い合う事の難しさであります。確りと苦しんで、しかし着実に正しい剣を身に付けて貰います。

最後に抜刀の母刀を抜き合いました。其々の愛刀と語り合いながら、振る楽しさと難しさを感じながら、心地よい時間を共有しました。退院以後自宅に篭もりっきりの廣川君も次回の稽古からいよいよ参加出来るとの事ですので、又賑やかな稽古と成りましょう。