広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

4月第三土曜日稽古会

令和五年4月15日、4月第三土曜日稽古会を行いました。この日は、二か月余りの海上勤務を終えた齋藤君が出向いて参りました。何やら台湾付近が騒がしく成った昨今、勤務予定も変更に成るのではと心配しておりましたが、無事な帰港をはたし、元気に稽古に出向いてまいりました。

昨年の宮島嚴島神社奉納演武大会初出場を果たして、明らかな第一期上達期を迎えている彼の一人遣いを観ながら、一つ言葉を添えました。鋭く、力強くい成って来た振りの納まりに・・・時として小さく、萎んで仕舞う構え(位)に言及しました。

構えは、打ち其の物です。構えた様にしか打てない・・・これが真理です。常に鋭く、強い打ちを求めての正しい素振りを実行し、納まる事を厳命しました。単なる形作りでは・・・殺陣であります。踊り、チャンバラであっては断じて成りません。

正面への坐礼の後に昨年の段位授与の補完を行いました。之で一門全てに調いました。

木刀での打込みでは、実際に相手に打込む間合の確認と習得を求めました。180センチの超える恵まれた体格を活かす間合の取得を命じました。打込みで自身の打間を身に付け・・・そして形稽古、地稽古で実践する・・・所詮、地稽古で実践出来ねば価値がありません。形稽古はその為の物であります。

兵法では、一点一画を疎かにせぬ遣い方を求めました。アバウトな手順のみを追う殺陣では、稽古になりません。一つ一つの術理を正しく理解し、先ずは形で遣いこなす・・・その後に地稽古で活かす・・・果てない師弟同行であります。

いよいよ彼にも剣道形の伝授を行いました。踏込みを遣わぬ剣道形の体の運びに苦しんでおりました。踏込みで身に付けつつある体の捌きを摺足でも活かす・・・所詮遣い分けが出来ねば、物の役にはたちません・・・別物である筈もなし。

兵法、剣道形の後は、真剣での振込を行いました。竹刀、木刀は所詮は模擬刀です。それはあく迄も真剣を遣いこなすための道具・・・真の刀の振り、斬りを求めて師弟共に真剣を振り抜きました。時として可成り良い刃音をたてる様に成って来た齋藤君でありました。

長期の海上勤務は想像以上に彼の身体にあらゆる疲労を蓄積している様で、最初の一人遣いから抜刀までの足の動きにある種の揺らぎを見て取り、今回は地稽古を行わずに、稽古終了とさせました。ここで無理をして怪我でもしては、元も子もありません。

稽古を終えて、黙々と掃除に勤しむ彼にその姿勢を道場外でも怠けずに続ける事を厳命しました。無論、これは昨年の大会後の無作法に起因する戒めであります。

 

日記