広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

11月第一日曜日稽古会・・・剣道特別稽古そして直伝稽古

令和五年11月5日、昨日に引続き日曜日稽古会を行いました。これまた昨日に引続き少し暑さが戻った日中でありました。

前半は剣道七段挑戦者の特別稽古としました。先ずは剣道形を打ち合いました。日々の稽古の中での課題をその都度伝えてありますので、その事を確りと認識しながら気を張り、挑んで参りました。太刀七本の中で通して呼吸法を継続する事はまだできおりませんが、何とかそう仕様と奮闘しておりました。今回は五本目で息が尽きておりました。

六本目の摺り揚げ小手は今までで一番の手応えを醸し出しておりました。打太刀の手の内にも心地よい手応えが伝わっておりました。本日の課題は、小太刀一本目の受け流しでありましょう。どうしても前で捌こうとして小太刀の捌きが下がって仕舞います。小太刀の中にもっと自身の身が入る事を求めました。

防具を着けての地稽古では、足の状態も考慮して基本稽古を行いました。形稽古で身に付けつつある摺り揚げ技を重点的に行いました。それは如いてはそれは、元立の打込み稽古でもありました。七段挑戦者の求める儘の稽古に応じました。剣道特別稽古の終盤に齋藤君が出向いて参りました。

この日の稽古が彼に取りまして、出航前の最後の稽古と成ります。時を惜しむ様に一人遣いに精を出す様子を観ておりますと踏込みを伴った振りを行い、次に今回の直伝稽古の阿吽の呼吸でのテーマとなりました。摺足での体の運び・・・それも剣道形で行う、大きく三歩でて小さく五歩で元の位置に戻ると言う足法を遣り始めました。

平生の一人遣いの際の場の遣い方から剣道形を行う場の遣い方に位置を変えて・・・しかし、立ち位置が打太刀(師の位)位置に立っている事は、最後まで気が付かぬ齋藤君でありました。新陰流と混同してしまっております。剣道形と新陰流の立ち位置は逆であります。
しかしながら夢中で無心に剣道形の運法を自身の感性で繰り返す様子をこの日は尊重する事とし、師の位で傍で見届ける事としました。背筋を通す事は、乱れた時には指摘しました。腰の上下動は極力少なく・・・摺足・・・浮かぬ様に・・・只自分の体を真っ直ぐ運ぶだけが・・・精度を求めれば果てしなく難しい・・・そしてこの捌きが打ちに繋がる・・・その事教えてもらい、この単純な動きの中にある剣の根幹に関わる物を求めて、無心に必死に取組む・・・気が付けば二時間近くがたっておりました。

齋藤君にとっての出向前の稽古は、終了しました。・・・良き稽古でありました。この様な単調な稽古に必死に取組む弟子の姿は・・・頼もしく感じました。

日記