広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

二月第三週土日稽古会

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二月第三週の稽古会を行いました。参加できたものに取りましては金曜からの三日連続稽古会と成りました。少し気候が緩み気味の数日でありましたが、この日曜日は道場内は確りと寒稽古の雰囲気に戻っておりました。この日は皆が待ち望んでおりました好美君が第一クールを終えて初めて道場に顔を見せました。無論皆、見学見取り稽古と思っておりましたが、何故かその手には竹刀袋が握られておりました・・・・・・。皆が全体稽古に入る前に其々一人遣いを始めると平服の侭、やにわに竹刀を取り出し、入門仕立の頃の様にユッタリと身体を労わり、自身との会話を楽しむように鏡の前で素振りを始めました。・・・感激の一瞬で有りました。やっと彼女にとりまして日常が戻ってきた瞬間で有りました。


久々に正面への礼法を皆で行い、全体稽古に入りました。基本の打込みに入りますと流石にこれは見ているだけであろうと思った後輩が打込みを開始しようと元立に歩み寄ろうとしたところ、好美君がハニカミながら、息の続く処まで遣らせて欲しいと進み出て参りました。何時もの通り彼女からの打込稽古を開始しました。この入院で三キロ減となったとは思えぬ正面打ちが飛んで参りました。色々な想いがこもった、正に気のこもった打ちで有りました。順逆を終える頃には流石に精根突き果てましたが、気持ちのこもった良き打ち込みで有りました。その気持ちに続くように若者二人も其々の想いで励んでおりました。返しで体が真っ直ぐに運べぬ者、順勢の太刀筋が乱れる者と夫々に課題を抱えながら、懸命に打ちを繰り出しておりました。之も又真の上達への一歩で有ります。1本たりとも疎かには出来ません。慈しむように1本1本を撃ち留める元立でありました。


兵法に入りまして、ここまで来てやはりこの一本は外せぬとばかりに立ち上がってきたのは、基本稽古から息を吹き返した好美君でありました。一本目の二の斬り、最後の合撃と見取り稽古をしている者には正しく手本となる打ちを繰り出して参りました。入院中もベットの上で確りと修行を続けていた証が此処に現れておりました。若者達も確りとその打ちを受け止めたと思います。打ちに気を込める、気がこもると言う事を実感出来たのではないでしょうか。


皆で三学を遣い合い、八勢、中段、九箇と遣い合いました。若者の試合勢法も遣うたびに雰囲気が出てきております。しかし若者は若者らしくもっと溌溂とキビキビした物を求めて貰わねば成りませんので、その点を今一度指摘しました。一足飛びには何事も出来はしませんが常にビジョンは持っていて貰わねば成りません。高みを目指して熱く遣って貰います。金曜日の夜稽古で初めて合撃のえもいわれぬ心地よい手応えを感じた小林君も今回もと臨んだ稽古では有りましたが残ったのは苦笑いだけであった様です。剣の神様はそれほど甘くは有りません。しかし又近い内に味わうことが出来ます。今はただあの感触を忘れずに待つのみです。しかしいまだ畳の侭の道場も悪くない物で、中段の一手を伝授しながら何気なく無刀の一手を稽古する小生で有りました。投げを繰り出すにはやはり畳は有り難い物であります。弟子の心配をする必要が有りません。


そして兵法の締めは遣ってみるかとの小生の問いかけに勇躍立ち上がってきた彼女の燕飛でありました。無論不安を抱えていたでしょうが、意を決して場に立てば最後に手裏剣打ちを見事に撃ち落として見せました。入院前には指で打ち落とした同一人物とは思えません。


最後に発声を伴っての抜刀を行いました。しかし若者達の発声の何とも頼りない弱々しいものか・・・・・。確り丹から発声出来る様に平素の呼吸法から励んで貰わねば成りません。


稽古後の歓談は団地に新たに開店した中華の店で行いました。日常を第二クールまでの僅かな時間と言えども取り戻した好美君の現状を喜びながら四方山話に花を咲かせました。