広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

九月最後の土日稽古会

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九月の稽古会もこの土日で最後と成りました。いよいよ今年の実りの時期にむけてスパートであります。平日稽古に引き続き小林君が久々の土曜稽古に出向いて参りました。道着姿の先輩とは久々の対面で有りまして、稽古前に近況を語り合っておりました。随分と涼しく成りましても、いまだ当道場から藪蚊の脅威は無く成っておらず、確りと二か所に蚊取り線香を焚いての稽古で有りました。藪蚊と共に先輩もその煙に酔っている様で有りました。


前日のランニングで可也身体に疲労が残っている様な小林君に多くの時間を費やしながらも、先輩にも確りと基本稽古に勤しんで貰いました。充分な時間を懸けて、遣りたくて仕方無かった相懸け返し流しも自身のペースで遣って貰いました。両腕に残る重たさは相変わらずのようでしたが遣えた喜びの方が勝っていたのでは無いでしょうか。間を取りながらの先輩の稽古を補う様に小林君には何時も以上に遣って貰いました。前日のトレーニングで少し硬直した筋肉には良きこなしに成ったのでは無いでしょうか。新陳代謝の良い彼の汗の掻き方は観ていて大変心地よい物で有りました。基本の打ちは可也確りとしてきました。


本日は本伝の太刀を確りと遣い合いました。先週から思い出した様な二の斬りの体捌きは本日も健在であった先輩でした。ただ高さが整ったのは十太刀に入ってからでありました。低すぎたり高すぎたりと思い悩みながらの遣いっぷりは生きた形を打つためには致し方の無い事では有ります。これでもかこれでもかと打ち合う中にこそ得がたき物尊き物があります。小林君には九箇の最後の太刀を伝授しました。無論手順を伝えた処で有りますので本当に面白くなるのは之からであります。基本の打込みは良くなっておりますが、之が形に成るとまだ生きておりません。今後は基本で良くなった打ちを形稽古で生かす工夫が求められます。


最後に皆で真剣を振り合いました。時に軸足が入りすぎてバランスを崩す小林君でありました。竹刀とは違う難しさしかし又その楽しさに夢中になって振っておりました。先輩は腕の重たさを考慮して摺り足で振っておりましたが、時に発する南北朝の心地よい羽音は廻りの者の心にも響く良き音で有りました。やはり刀は力でではなく呼吸、気で振れるとあらためて感じ入る一瞬でありました。困難に負けずに稽古に精進する者には思わぬご褒美が有るもので有ります。