広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

由布院合宿

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今年も又、昨年に引き続き、お盆休みを利用しまして三度目の由布院合宿を行いました。今回は昨年お聞きしておりました建替えたばかりの湯布院中学校武道場での合宿を予定しておりましたが、工事が少し遅れ気味で使用できませんでしたので、急遽隣接しております由布院B&G海洋センターで行う事となりました。来年こそは真新しく成っているはずの湯布院中学校武道場を使用できればと願っております。
この地は40年前にキャプテンとして山口大学の剣道部を率いて合宿を行った思い出の地で有ります。平素、蒸し暑い山口の地で過ごしておりました我々にとりまして、湯布院での一週間はまるで楽園での出来事でありました。当時合宿を張ったお寺の片隅に有りました小さなプールは真夏でも信じれない冷たい山水をたたえており、体を慣らさずには飛び込めない程であり有りました。夜は冬布団を掛けねば寝られぬ程に涼しい夜でありました。食事も何を食べても素晴らしく美味しく、最高の合宿をおくれました。その甲斐あって合宿後の中四国大会を勝ち抜き、全国大会の切符を勝取る事が出来ました。
その様な思い出の地での当会の合宿も今回で三度目となります。涼しい筈の・・・・・湯布院も昨年あたりから少々趣が変わって来ております。クーラーを利かしているにも関わらず、寝苦しさに暴れまわっている者が・・・若干名有りました。目を覚ました時には何故か掛け布団のカバーが外れてしまっておりました。地球温暖化は湯布院にも忍び寄って来ている様で有りました。
しかしながら昔ながらの温泉の素晴らしさと食事の充実は皆一様に驚きと満足の一言でありました。食事の味は勿論、その量にも流石の大喰らいの若者も持て余し気味でありました。いま一人は夜の豊後牛にタガを外された如く、次の昼も、帰りの夜もと牛ばかりを貪り食っておりました。思わぬ一面に皆驚きの表情を送ってりました・・・少しばかり心配しながら・・・何やら精神的な変化が起きているのやも知れません・・・。
稽古は平素の武道場ではなく体育館で有りますので床の具合を心配しておりました。年数が経っているその床は経年劣化によって絶妙なヘタリがあり、思わぬ良き感触でありました。武道場と遜色無い優しい床でありました。皆、加減する事無き踏込みを楽しんでおりました。しかしながら其の広さは、本来剣の修行者には邪魔になる広さであります。少し散乱しやすい場での集中を求めました。
昨晩の夕食後の講道で三学の教え、稽古で身に付ける心構えを伝え
ばかりでありましたので、早速に各々の工夫を求めました。
会場は当会だけでの時間帯を確保しておりました。これは無論稽古は他を交えずに静謐に行う為であります。その思いとは裏腹に当会の後に使用する高校生の剣道合宿の一団が、一時間半も前に到着して参りました。貸切の会場に、道具だけ置かせて欲しいとの申し出が有りましたので、許しましたが、その躾のされてない立居振舞いは同行の保護者にもあり、ピーンと張り詰めた空気を僅かばかり乱される者もありました。九州の私大学の付属高校であったようですが、数ばかり揃えてもあのマナーの至らなさでは実力も又知れた物で有りましょう。名ばかりの指導者も付いて来ていたとは思いますが、先ずはこの者達を躾直さねば子供達も又まともには成りえないでありましょう。この様な者達には剣道を名乗って欲しくないと感じた次第であります。
他山の石もあり、場の違いもあり、しかし前日の講道を皆が其々に確りと咀嚼しながら遣いきった良き稽古でありました。講道の後に行った蟇肌竹刀(小太刀)作りも何故か最初では無い先輩が一番遅れを取っておりましたが、皆無事に仕組みを終えることが出来ました。若者二人には合宿記念となりましたが、先輩に遅れること一年近くになりましたが手作り小太刀を授けました。早速小転で皆お揃いの小太刀を遣っておりました。仕組みを終えた蟇肌竹刀も次回稽古までには完成させて手渡したいと思っております。これが本当の今回の湯布院合宿の記念となります。
盆の帰省ラッシュの最中の合宿でありましたので、渋滞を心配しておりましたが、それには巻き込まれずに済みました。帰りに立ち寄りました日田豆田町は、昔の風情が残る趣のある町並みでありました。今少し見学したいと言う気は有りましたが、なにせ日田の暑さは半端無い凄まじい物でありました。何れ又訪れる事を念じながら逃げるように後にしました。