広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

二月第三日曜日稽古会

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平成27年2月15日、昨日に引き続き日曜稽古会を行いました。この日は柳井から関戸君が、傷心気味の小林君が先ずは出向いてまいりました。小林君はテスト走行で左肩を痛めたようで、本日は見取り稽古の予定でした。しかしながら久しぶりにテルミー(温熱療法)を施してみると、改善された肩の調子で隻手の小太刀での稽古に取り組んでみる気に成りました。全体稽古前の一人遣いに其々に取組んでおりました。関戸君の様子は平素の一人稽古の様子が垣間見られる物で有りました。少し足の遣い方は手直ししましたが、全体的には伸びやかな遣い方に成りつつ有ります。
座礼を行い、基本の打込みに入りました。小林君には小太刀での打込みを行って貰いました。最初は隻手の打込みに四苦八苦しておりました。両手太刀とは違う難しに竹刀が暴れておりました。程なく太刀筋が整って参りました。打ち込んで見なければ判らぬ感覚が有ります。関戸君は、その太刀筋は一人遣いの良き感覚が出ておりました。しかし、時として竹刀が先走りする事が有りました。刀法はあくまで足腰刀であります。踏込みに連動する働きであらねば成りません。手打ちでは駄目であります。その汗で顔色が真っ白になるまで繰り返し打込みを行って貰いました。之も又阿吽の呼吸の取組で有ります。双方が求めるままに遣い合いました。
兵法に入り、三学、九箇、試合勢法、小転と遣い合いました。十太刀の術理を伝え、その意味を確りと理解して貰いました。前回授けた小太刀の遣いぞめは楽しき様子で取組んでおりました。時折触れる彼の手の感触は、ヒヤリとしまだまだゴツゴツした感触で有りました。何時の日にか、赤子の様な柔らかさを身に付けてくれる事を願っております。
その様な稽古の最中に、自慢の被り物姿で廣川君が出向いて参りました。一ヶ月ぶりの挨拶と見通しの甘い弟弟子を早速甚振っておりました。傷口に摺り込む塩を沢山携えて・・・・・。
弟弟子を前に、駆けつけ三本・・・三学、小転、燕飛と一気に遣い合いました。それは三学での一日の長を見せつけた気の高まりの燃え具合の余韻の成せる技でありました。その得体の知れぬ速さの正体にやっと気がついた関戸君で有りました。良き事で有ります。
久々に目にする燕飛に、何時の日にか我もと感じた事でありましょう。弛まずに精進を続ければ、そんなに遠い事では有りません。伝授する日が来れば、阿吽の呼吸で突然に伝える物で有ります。要は用意が調えば良いのです。伝授の序次には拘りません。

抜刀を終えて、うどんを啜りながら、稽古反省と世の不条理に憤慨する若者で有りましたが、又しても手にはしていない物を当てにした事をチクリチクリと突く先輩で有りました。今回の件は、それだけを捉えれば無論酷い話で有りますし、不信感を持たざるを得ない事も又事実でありますが、スクールから始まり此処まで未熟な自身を育てて貰った事も又事実で有ります。人は先ずは受けた恩を知らねば成りません。そして受けた恩に報いねば成りません。そこの処を勘違いせぬように、一度の不条理に我を忘れぬようにして欲しいと願う物で有りました。