広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

9月最初の土曜日稽古会

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令和二年9月5日、9月最初の土曜日稽古会を行いました。大型の台風が、近づいて来ていましたので明日は様子を観て休みにせざるを得ない状況での稽古会でありました。このひ一日の稽古を皆で存分に楽しみました。

昨日からこん朝にかけては少し猛暑も和み気味と感じておりましたが、昼を過ぎますとやはりこの夏の猛暑の名残を感じる暑さでありました。永原、齋藤両君が懐の手拭いに手を遣る回数は今まで通りでありました。若者達の汗の掻きようは・・・やはり尋常では有りませんでした。

一人遣いの際に齋藤君が、妙な振りをしておりました。彼特有の独り善がりな胴打ちを試みていたようで・・・久々に見た阿呆の所業でありました・・・捨ておく訳にも行かず、真の胴打ち・・・正胴の打ちを教授しました。何故逆胴が良くないのかも無論、伝えておきました。新陰流は、正面、順逆で事足りるとの教えがあります。この三つの太刀筋を極めて行くのみであります。しかし、彼らの一人遣いも・・・確実に上達をみせて来ております。稽古は、嘘をつきません。基本、形、抜刀、地稽古が1つの物と成るように真の精進あるのみであります。

小林君からの返礼の木刀での打込みでは、樫の木刀が打ち合わさるその感触を精密に感じる事を命じました。刃の部分が理想的に打ち合わさる感触・・・そこの処がすべての技の根幹になる処であります。

兵法では、齋藤君に前回に引き続き、二の斬りで真の働きが飛び出しました。これは前回の初めて知り得た合撃の真の感触・・・そこからの良き流れでありましょう。心地良さそうな余韻を感じておりました。負けずに永原君の久々に良き踏み込みからの連動をみせておりました。良き相乗効果であります。

今回のハイライトは、抜刀(真剣)での母刀と言える抜きからの一振り・・・自然に斬り下げた其の一太刀から発せられた羽音は、真の斬りその物でありました。思わず周りから声が出ました。喜色満面の表情をみせたのは・・・齋藤君でありました。自身が何気なく斬り通した刀が発する音・・・羽音に感激と驚きを隠し得ない齋藤君でありました。小生の心身にも心地よく弟子の成長を感じさせる羽音が、届きました。思わず声を出して応じました。嬉しい一時の共有でありました。

稽古最後の締めの地稽古では、人を捉える事の難しさを嫌と言うほど思い知る事になった弟子達でありました。しかし・・・いつの日にか真の一本を取れる事を信じて打ち込んで来る弟子達でありました。必ず弟子達から見事な一本を貰う日が来る事を信じている師の位の私でありました。その日が楽しみであります。

日記