広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

12月最初の土曜日稽古会

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12月5日

令和二年12月5日、12月最初の土曜日稽古会を行いました。この日は、二か月振りに海上勤務を終えて齋藤君が出向いて参りました。前回勤務では、ダイエットに心掛けたとの事で少しスッキリした体形で帰ってきましたが、今回は・・・見事なポッコリお腹で戻って参りました。さぞかし毎回美味しい食事を堪能して来たのでありましょう。

11月末までのレースシーズンを終えても何かと出張の多かったか小林君もこの日は、元気に参加しておりました。寝ぐせの付いた伸び気味の髪の毛の様子に残務整理に慌ただしくしている様子を感じました。

二人ともに久しぶりの稽古ですので、何時も以上に一人遣いに時間を割いて貰いました。夫々の想いで自身の稽古に勤しんでおりました。そこに一言を添えて今まで取り組んでいた事を再確認して貰いました。

坐礼で確りと呼吸を一つとして稽古に入りました。先ずは木刀による打込みであります。之も又何時もよりは少し時間を懸けて行いました。小林君は、どうしても打ちに気が行き過ぎて、肝心の踏込みが甘くなる傾向があります。それでは本末転倒です。もっと踏み込みに気を込める事を厳命しました。

齋藤君は、ふくよかに成った腹を物ともせずに彼なりには身体は良く動いておりました。艦の上での一人稽古を感じました。少し身体の歪み気味が彼の課題ではありますが、今は伸びやかに遣う事を優先させました。

打込みの後には、木刀での順逆(袈裟斬り)を斬り通しで行って貰いました。勢法の中にある太刀筋ではありますが、どうしても形の中だけの事と成っておりますので、個別に取り出し、遣いきる事を命じました。此の太刀筋の精度を求めました。特に巻藁を斬る際の太刀筋を今一度示し、遣い訳を求めました。まだまだ求める羽音には物足りませんが、勢いの出て来た遣いっぷりの二人でありました。二人の若さに期待であります。

兵法では、良き気の張りを醸し出していた若者達でありました。無論、課題はありますが、それよりも合撃に良き手応えを得ておりました。師弟共々に良き感触を共有できました。

抜刀では、斬り通しの袈裟斬りを順逆共に振り込んで貰いました。正面の一刀両断で良き羽音をだす小林君でありますが、順逆では明らかに音が違います。その違いに四苦八苦しておりました。逆に齋藤君は、何故にか逆勢に自分自身が驚くような心地よい音を立てておりました。彼自身が驚くさまを羨ましそうに眺める小林君でありました。

稽古の締めは、無論防具を着けての地稽古であります。少しずつ打たれっぷりの良くなっている小林君でありました。之は、間違いなく上達の兆しであります。両名共に180センチを超える長身であります。この立派な身体を使いこなす日もそう遠くないと感じ入りました。その日の一にも早く来る日を願って、この日も心置きなく打ち据えておきました。打たれて覚える、打たれて強くなる・・・剣の修行上達はこれ以外有り得ません。打たれる事を恐れ、嫌がる者には上達の道は用意されておりません。逃げずに堪え、前に出るしか道はありせん。弟子達に見事な一本を打たれる日を夢見て師弟同行の日々は続きます。

日記