広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

一年数か月ぶりの大阪そして岐阜悟道館への遠征

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10月26日

令和三年10月26日~27日、緊急事態宣言明けを待って、一年数か月ぶりの大阪から岐阜悟道館への遠征に出かけました。未明の午前2時半には自宅を出立し、先ずは川西にあります大学時代の同級生のお墓へと向かいました。彼が、岩木山(青森)で遭難して早三年四カ月が経ちました。お墓の前に立てば、何時もニコニコと笑みを湛えて、少しはにかむ様に語り懸けて来る三木の顔が目の前に浮かびました。お花と土産の紅葉饅頭をそなえ、静かに般若心経を唱えました。50年近く前の大学時代の思い出が・・・懐かしく思い出されました。

三木に別れを告げて大阪の宮園先生の自宅を目指しました。相変わらず、自宅前の敷地には多くの巻藁が立て掛けられておりました。この日は、小生の為に紙を巻いた物や新聞紙を重しをおいて重ねて形を整えた物を用意して頂いておりました。何やら破れやすい物を斬る難しを知って貰おうとの事でありましょう。しかし、折角のご配慮も四方から糸で張った新聞紙を横一文字に薙ぎ払う一太刀でスッパと斬り通されて、上二本の糸で吊るされ風になびく横に真っ二つされた新聞紙の様子をご覧になられて・・・これは必要ありませんでしたねと言われて・・・用意された、恐らく50枚近くの形を調えられた新聞紙が・・・無駄に成ってしまいました。申し訳ない事でありました。

その後は、折角ですので巻藁を久しぶりに数十本斬らせて頂きました。遣う刀によって特性の違いがありますので、夫々の物打ちの確認と太刀筋の確認を行いました。少し鋭角に切り込めば、確かに巻藁を斬る分には手応えとしての切れ味は増します。しかし、人を相手にする剣技としては、やはり正しい順逆の太刀筋が、斬り合いの中では求められます。何処までもその正しい袈裟斬りを確認する斬りを行いました。正しい刀法はあくまで人相手の物であります。その日は、無論ホテルに泊まるつもりでお邪魔しましたが、宮園家の居心地の良さに甘えて仕舞い、お誘いの儘に泊めて頂く事になりました。ご夫婦共に大変にお世話になりました。

次の日は、岐阜悟道館への向けてのレクサス二台でのランデブーと相成りました。10時半頃には道場に到着いたしました。前回同様に平日にもかかわらず、ご夫婦でのお出迎えを得まして、暫し用意していただいたお茶とお菓子での歓談と相成りました。平素のお二人の交流の様子に暫し耳を傾けました。少し早めの昼食を奥様に手配頂いた豪華弁当を頂きました。毎回心の籠ったおもてなしに、恐悦至極であります。之は無論、宮園先生とのお二人の平素の交流の証で有り、小生に取りましてそのおすそ分けであります。何にしても心地よい雰囲気で有りました。

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河村先生試斬

その後は、大阪より用意して参りました30数本の巻藁を台に立てての試し斬りと相成りました。小生は、前回初めて挑戦した斬り上げの太刀筋のこの一年の工夫に重点をおきました。斬り通した太刀筋によって斬られた巻藁が飛ばないように・・・真剣が走り、巻藁をすり抜ける様に斬りあがり・・・斬られた巻藁は其の儘、落ちずにくっついておりました。この一年の工夫稽古には手応えを感じました。

河村先生は、頻りに(とんぼ)の斬りに挑戦をしておいででした。来年早々再開されそうな大会に向けての稽古でありましょう。宮園先生のご指導を仰ぎながらの斬りを繰り返しておいででした。

持参しました試し斬り用の刀の遣い初めを行いました。71センチで少し反りの深い太刀体配の刀の斬れ味は、想像以上で有り、お二人にも試し斬りをして頂きました。お二人とも同様に(先生、これは当たりですね)と仰っておいででした。戻りまして早速仕上げの研ぎと拵えを調える事としました。

楽しい一時はあっと言う間に過ぎ去り、気が付けば夕方に成っておりました。厚かましくも夕食もご馳走になり、楽しい一時の余韻に浸りながら帰途につきました。何か何までもお世話に成りっぱなしの二日間で有りました。両ご夫婦には感謝の念に堪えません。誠にお世話に成りました。

来年の宮島嚴島神社奉納大会へのお越しを心待ちにしております。

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