広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

10月最後の日曜日稽古会・・・小林君スーパーGT第七戦への送出し稽古会

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10月31日

令和三年10月31日、10月最後の稽古会を行いました。この日は、小林君のスーパーGT第7戦へ向けての送り出し稽古と成りました。レースシーズンが始まって最早後2戦を残すのみとなりました。ここまでチームとしてもドライバー個人としても今一つ結果を出せずに、もがき苦しんでおります。それを生みの苦しみと信じ、プロドライバーとして最後の二戦に臨む気入れの稽古としました。己に与えられた責務を果たす覚悟を求めました。

基本の時から先ずは、位を大きく高く取る事を今一度指摘し、求めました。位が小さくては、心も縮こまります。先ずは、姿形を大きく正しく取る事の意味を指摘しました。早く打とう、鋭く打とうとすると小さくなる、すると心も小さくなる、それでは相手に勝てる訳が有りせん。

竹刀、木刀、真剣と得物は飽くまでも伸びやかに大きく遣わねばなりません。しかし、鋭く。そして緩急強弱を以て遣いこなす。それが人を相手にすると言う事です。只打たれる、斬られる者など有り得ません。相手に連れ従って、間に合う様に鋭く遣いこなすしか有りません。それも無意識に。

基本打込において、指摘されると思い出し、その様に遣おうとし、何本か良き打ちが出ておりました。しかし、指摘される前にそろそろ自身で自覚を以て臨まねば駄目です。何時までも学習能力の低さを露呈してはいかん。何時までも甘えてはいかん。

本伝の太刀では、三学から九箇と遣い合いました。位攻めの良き働きを醸し出しておりました。二の斬り、合撃では、最後の一本に良き手応えを出しておりました。・・・そこからやっとスイッチが入った様に、雰囲気が一変しました。九箇になるとこれまでにない合気・・・呼吸法からの真の気が充実した状態となり・・・それが九本遣い切るまで続きました。・・・気負いもなく、さりとて気が緩む事無く…只々真の充実の儘に九本を一つの物として遣いきる…只々無心に、夢中に・・・最後の村雲では初めて一つの太刀の合撃が飛び出しました。・・・見事な締めの一本で有りました。

生涯の記憶に残る九箇の太刀でありました。本日の稽古は・・・これまで・・・として良い遣いっぷりでありました。真の充実と言って良い気の張りを初めて九本の形を打ち終える事で実感出来た様であります。師弟共々に喜びを共有できた瞬間であります。

その余韻を以て、抜刀、地稽古と遣い合いました。抜刀も最早巻藁は何時でも斬れる太刀筋と成っております。しかし、地稽古では、合気と成ったが故の思わぬ苦しさに顔を真っ赤にして、呼吸の出来ない状態に目を白黒させておりました。ジワリジワリと位攻めを繰り出され、何時の間にか道場の片隅においやられ・・・気が付けば呼吸が出来なくなっている・・・呼吸が合い・・・合気と成ったがゆえに呼吸力の上の相手に呼吸を支配されると・・・この状態となります。

しかし、之は大変な進歩で有ります。呼吸法が物になりつつある証であります。上達の証拠であります。此処を乗り越えて行けば少しづつ呼吸は、楽に成ってゆきます。まだまだ時間はかかりますが、確実に極意に、真理に近づいております。良き事で有りますし、嬉しき事であります。

スーパーGT第七戦に向けての良き送り出し稽古と成りました。後はレースでチームから託されたマシンを性能以上に操り、マシンの力を出し尽くしてやるだけで有ります。活かしつくして遣るだけであります。奮闘せよ!!

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