広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

10月第五土曜日稽古会・・・剣道特別稽古会

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10月30日

令和三年10月30日、剣道特別稽古会を行いました。この日は、剣道七段挑戦中の知人への特別稽古三回目となりました。

先ずは、剣道形から遣い合いました。初回から指導しております呼吸法を確りと意識しての剣道形は、彼に取りましては難行苦行であるようです。ほぼ三本目で呼吸困難状態と成っておりましたが、彼なりに悟られないように呼吸を継ぎながら何とか七本目までに辿り着きました。ほぼ酸欠状態となり、肩で必死に呼吸しておりました。

しかし、何とか呼吸法に取組み、形を打とうとしている様子は、非常に好感が持てますし、打ち甲斐を感じました。上手さはなくとも、巧みさはなくとも好感が持てました。後はこの稽古を何処まで続けられるかであります。剣の修業は、鍛錬であります。千日(三年の稽古を鍛とし万日(三十年)の稽古を錬とするであります。一朝一夕で身に付くものなど何も有りません。

七本打ち終えて、三本目と六本目の術理の指導を行いました。特に三本目は難しい・・・その理合と技を理解し、身に付けている者は、ほぼ皆無に等しい一本です。真摯に取り組んで貰いました。

六本目の摺り揚げ小手は、刀の鎬を意識した手応え、感触を手本を示しながら理解を促しました。先ずは、知る事、そこからが身につける修行の始まりであります。ほとんどの高段者でさえ実質は返し小手になっている先ずは、その理解から始めました。目から鱗の様なその目の輝きが印象的でありました。

地稽古に入る前に、彼から基本稽古を求めて来ました。少々驚きで有り、感心しました。大人に成って剣道を始めた者に取りまして基本稽古が致命的に不足している事を理解した様で有ります。しかしながら、之を補う事が実際には致命的に難しい・・・年代に応じた稽古が剣道においては、絶対に必要であります。過ぎ去った年代を取り戻す事など出来ません。それを大人に成って補うには…形稽古しか有りません。形と地稽古を一つの物として修行するしか術は有りません。形の延長としての基本稽古を地稽古の前に防具を身に付けて行いました。特に竹刀での摺り揚げ、返しを手本を示しながら、繰り返しさせました。之も又毎回何度も繰り返して行かねば成りません。身に付けるまでには途方もない時間が必要と成ります。年齢がいっていれば尚更です。気の継続しか術は有りません。

地稽古では、形稽古のある種の成果が出ておりました。静かに位攻めで場の隅に追い詰められ・・・息を詰まらせている状態が出ておりました。呼吸法を意識している状態であり・・・ある種の合気と成っておりました。之は、これで大変な進歩で有ります。剣道の真の修行の一歩に踏み込んだと言って良い状態で有ります。技ではなく気の稽古と言いて良いと思います。之こそが、大人の稽古であります。今後の直伝稽古が継続出来れば、見込みは大いにあると感じた本日の特別稽古でありました。

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