広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

4月第四土曜日・・・剣道特別稽古

明道館

令和四年4月23日、この日は平生の道場が学校行事で使用出来ませんでしたので、中山の明道館をお借りして4月29日に京都で行われる剣道七段昇段試験の為の剣道特別稽古会を行いました。

明道館での稽古は、恐らく20数年ぶりであります。当時の面影を残しながらも床板や水回りは改装の後が見受けられました。先代石田先生亡き後、息子さんやお弟子さん達が努力して後を継がれている様子が良く感じる事が出来ました。少年剣士を育成しながらも確りと大人の稽古会も立ち上がっておりました。

29日に七段昇段試験を控えた御仁を相手に直伝稽古を開始としました。

先ずは、剣道形であります。この道場は七段挑戦者の平生の道場であります。慣れ親しんだ道場の稽古とあって五月の道場での様子と比べて目付き、顔つきが明らかに違っておりました。やはり慣れ親しんだ場ではすべてが充実するようでありました。

本人は小生から指摘されるまで気が付かなかった様ですが、一本目の残心に至る位攻めは、今までに無い良き気を発しておりました。太刀七本、小太刀三本を一息で遣い切りました。受験用の形としては充分でありますが、更なる上を目指して数点言葉を添え、手本をしめし、正す事としました。剣道形はあくまで地稽古に繋がる物でなけねば意味が有りません。地稽古に繋がる迫真の形を求める事を伝えました。特に小太刀の入り身からの受け流しは地稽古では得物が違うので繋がらないと思いがちですが、そんな事は全く見当違いであります。勇気をもって相手の太刀を制しながら間境を越す処、相手の打ちを受け流す技法・・・両手太刀でなら如何様に遣うか・・・地稽古の糧となる物が多く含まれております。

地稽古では、先ずは基本の面打ちを行って貰いました。試験が迫っていると如何しても小さく成る打ちを意識して大きく遣って貰いました。正しさは大きさの中に有ります。その正しさを今一度認識して貰いました。応じ技、返し技を10数本行い、地稽古を行いました。

自分の平生の道場であると言う自然な充実が醸し出された地稽古でありました。之までの五月での稽古より明らかに先に懸り、良き打ちを繰り出しておりました。攻め込みからの少し大きな振りの攻め込み面を決めて、大きく鋭い打ちの大切さを無言で伝えました。振り揚げる動作が攻めと成り、打たれた瞬間自身の体がのけ反った状態と成っている事に驚きの様子でありました。彼の心に伝えたい事が確りと届いた様で有りました。

充実の稽古を終え、昇段試験に臨む心構えを伝えました。良き結果の知らせが入る事を願っております。

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