広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

7月最初の土曜日稽古会・・・齋藤君、遂に合撃の真の手応えを得る!

令和四年7月2日、7月最初の稽古会を行いました。この日を最後に二か月に及ぶ海上勤務に就く齋藤君が猛暑の中出向いて参りました。この日は、彼だけでなく師弟共々忘れぬ日と成りました。

その予感は、一人遣いの段階から何かを感じる師の位でありました。宮島嚴島神社奉納演武を経験した事に依るある種の覚醒が起きている事を感じさせる一人遣いの様子でありました。

之までは180センチ85キロの体躯を持て余し気味の齋藤君でありましたが、一人遣いの段階でその振りは、明らかにその長い手足を充分に遣い切っておりました。そして自然な鋭さが出て来ている太刀筋でありました。

坐礼を行い、木刀による打込みを行いました。流れ落ちる汗を物ともせずに心地よい打ちを繰り返しておりました。

そして兵法に移り、その時は突如として現れました。一二本目の合撃はブレたり、弾かれたりしておりましたが・・・最後の長短一味において生涯初めてと言って良い手応えがでました。

打太刀の太刀がストーンと落ち、自身の太刀がピタリと打太刀の頭上を制しておりました。其処に何の作為も無く、手に残る得も言われぬ心地良い感触に、暫し我を忘れて浸りきっている齋藤君でありました。打太刀に連動して下段かくきりに納まる処をハッと我に返って遅れて従う齋藤君でありました。其れも又良しであります。我を忘れる程の真の合撃の手応えでありました。師の位に取りましても嬉しい一瞬でありました。

この様な師弟同行の喜びを共有した時・・・思い出すのは

亡き廣川君の事であります。彼女に生涯初めて真の合撃の手応えが出た時・・・喜びの余り、小生に向かって、嬉々とした笑みを湛えて、親指を立てたワンシーンであります。直伝稽古でしか味わえない、言葉では言い表せない、味わった物でしか感じる事が出来ない、至福の時でありました。

この手応えが出た以上、本日の稽古はここで終了とするのが良いとは思いましたが、彼の二か月に及ぶ船上での一人稽古の為に制剛流抜刀の技を少し追加して伝授する事にしました。

伝授が終わり、通し遣いを三度行って貰い、本日の送り出し稽古を終了としました。この日は、あえて地稽古は行いませんでした。

二か月後に元気に帰って来る事を願って散会としました。

日記