広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

5月第四日曜日稽古会

平成28年5月22日、第四日曜日稽古会を行いました。18日には大阪から野原君が、この日はゴールデンウィーク後初めてとなります永原君が元気に出向いてまいりました。職場復帰を果たした廣川君は無論参加であります。復帰一か月の慣らし期間を経て、此処に来て自身のペースを掴みつつ有ります。前回の様子を皆が心配しておりましたが、今回は見違えるような気力体力でありました。
兎も角も一か月ぶりとなります永原君に、先ずは基本打込みで確りと汗を流して貰いました。途中矢張り足が縺れておりましたが、必死に食らいついて来ておりました。
兵法の初太刀は無論三学であります。久々に打太刀に向かえば如何しても何らかの揺らぎは生じます。この日は明らかに拳が下がり気味でありました。指摘し正しました。九箇、下から、小転と遣い合いました。最後に抜刀を抜きあい、一部けいこの終了としました。
廣川君と暫しの歓談を済ませて道場を後にしました。
いよいよ二部稽古の始まりであります。前回とは雲泥の差は、確りと基本稽古を所望して参りました。正面左右と順逆を一息に遣い切りました。一本一本の打ちにも自然な鋭さがありました。遣い終えて呼吸を整える様が心地良さ気でありました。
そしていよいよその時を迎えました。三学において前回とは明らかに違う勇気をみせて合撃を打込み、斬釘に移りました。その時に入門して初めての(斬り合い)と表現して良い打ちが飛び出しました。本人も謂れの無い心地よさを感じていたようですが、稽古後に指摘されてその本質に真に気が付いた様で有りました。その後に続く二の斬り、最後の合撃、特に合撃の乾いた(パシーン)と言う音と共に丸で木の葉がハラリと落ちる様な打太刀の剣先の落ちる様は(本当に落ちるんだ。落とす事が出来るんだ)と言う真の実感を得た瞬間でありました。その感激が素晴らしく強烈でありましたので、思わず小生が(ニンマリ)とした斬釘の生涯初の斬り合いの印象が少し薄くなったようでしたので、言葉を添えて激賞しておきました。合撃ではまだ藤中君が在籍していた頃に本日の手応えに近い一本が飛び出しております。その折には全身から湧き出た喜びを思わずその立てた親指に現しておりました。懐かしくも印象深い喜びの共有でありました。
7月に控えた演武に向けて、燕飛の一人遣いを所望してまいり、確りと精度を高める遣い方を確認しておりました。最後に気一杯で遣い合い、本日の稽古を終了と致しました。
師弟共に生涯忘れえぬ一日と成りました。