広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

7月第二日曜日稽古会

令和四年7月10日、この日は二人の若者が出向いて参りました。昨日同様に不快指数の高い、蒸し暑い一日でありました。挨拶もそこそこに剣道着袴に着替えて一人遣いに精を出す二人の顔から止めど無く汗が噴き出しておりました。夫々の想いで行う一人遣いの中にその精神状態が如実に表れておりました。その場では言葉を懸けずにおきました。

坐礼を行い、木刀による基本打込を行いました。永原君の足捌きに少し注文を付けました。小波で攻め込み大波で打ち、小波で抜けて行く・・・小波で抜けて行く処が、最初からさざ波となっておりました。小波からさざ波であります。それは不自然であると伝え、何度も繰り返しさせました。剣全体の遣いっぷりに不自然さはあっては成りません。

小林君は、やはり一人遣いの際に感じていた小さな振り被りで打込んできました・・・大強速軽の教えを今一度諭しました。基本打込の初太刀を速の打込では、浩然の気は養えません。最初から速さを求めても真の速さは決して身に付きません。これは之までも何度も指導している事であります。覚えの悪い・・・学習能力の低さには、猛省が必要であります。直ぐに要領よさを求めてしまう彼の悪癖であります。要領の良い稽古など剣の世界には、決して有り得ません。真摯に手順を踏まえ、愚直に手を抜かず一点一画を疎かにせぬ誠実な稽古でしか得る事が出来ぬ物があります。今一度肝に銘じる事を厳命しました。

兵法は本伝の太刀を遣い合いました。位の変化に僅かな歪みが出ていた永原君でありました。位は変化する物であります。その変化の先が歪んではなりません。意識させました。文を斬る際の僅かな心の迷い・・・これまた小さな振りにしか気の行かない小林君の弱点であります。遣るべき稽古を欠かさず行い、克服するしかありません。作ろうとしても出来る物など何も無い!

真剣での抜刀は、立合を重点的に行いました。今頃船上で齋藤君も立合に励んでいる事でありましょう。

稽古の締めは、防具を着けての地稽古であります。体全身から汗を絞り出す如く、激しく打ち合いました。凌ぎではなく、逃げ、守りに終始する者には、遠慮なく空いた処を八重垣の如くに打ち据えました。之もまた形の延長であります。凌がねば逃げきれる事など絶対ないと思い知らせました。打たれて覚えるしか、会得するしか道は有りません。

全身の汗を出し尽くし、本日の稽古終了と致しました。面を取って坐礼を行うと、山からの風が心地よく吹き込んでおりました。稽古後の風は心地よい物でありました。

日記