広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

平成22年新年稽古始め

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新年稽古始めを行いました。年末からの寒波の襲来で雪の降る日も多く、予報に反して寒い日が続く新年で有りますが本日は比較的晴れ模様の稽古始めでありました。ある程度日差しもありましたが道場の床はここ暫くの寒さを良く凍み込ませ氷の様な冷たさを感じました。しかし其れゆえに初稽古らしくて清清しい感覚を持つ事が出来ました。寒中稽古はこうでなくてはいけません。年賀状に夫々の新年の抱負を簡潔に述べてよこしておりましたので、初稽古はその心意気を感じ合うそれでも有りました。


外の様子とは裏腹に道場内は冷蔵庫状態でありますので体を充分に温めるべく基本打込みから行いました。最初は軽い竹刀で行っておりましたが途中から少し重めの竹刀に変えて貰いました。使い慣れない重めの竹刀に少し苦戦しながら打込みを行っておりましたがやはり疲れてくると体全体で遣わずに有りもしない手首の力で遣おうとし返って苦しんでおりました。それでもかまわずどんどん追い込んでゆくと体が苦しさから逃れるが如く其の非を正しそれなりに身体全体で遣おうとするが如く成って参りました。少々息が上がって来る頃には身体の芯から温かさがジワッと滲み出て来たようです。温かいお茶と新年の祝い菓子で一服を楽しみ兵法の遣い始めを行いました。


本来なら三学で始める処では有りますが一服の間に胃の腑は温まったのですが基本稽古で温まった手足がすっかり冷えてしまいましたので少しの暖気運転宜しく八勢から打つ事としました。やはり心体を一気に熱くするのは八勢に限ります。すっかり熱くなった処でしっかり気を胆に溜めての三学(とりあげ)を遣い合いました。気を知り気を練るには呼吸法を伴って行う三学(とりあげ)が一番です。下からの予備勢法などとの言葉を鵜呑みにしている一知半解の輩には判る筈も無き事です。新年稽古始めのそれは心洗われる程良き出来で有りました。合撃の心地よい懸かりそれに増しての二の斬りが素晴らしく良かった。太刀筋、連れ拍子、付け打ちの納まりに微塵のブレもなく特に斬釘のそれは申し分の無い物で有りました。新年の神様からのお年玉と言った処で有りましょうか。演武をひかえた本年の良き門出になる三学で有りました。


その後九箇、下から、中段、大転を遣い合い抜刀を抜き合いました。本人の希望もあり小生も機がくれば何れは伝授したいと考えていた剣道形の一本目を伝えました。其の理は剣を志す者には最も大切な処であり新陰流を修行する者にも勿論であります。しかしあくまで本人の要望が無ければ行うつもりはなく今まではただ我々が打つそれを見せるだけでありました。今回その申出が有った事は正直驚きもしましたが大変嬉しく思いました。これから新陰流と共に伝えて参ります。あらゆる意味で良き又記憶に残る稽古始めで有りました。