広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

八月最初の稽古会

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いよいよ八月に成りました。今年の焼けるような猛暑は先週の熊本だけでは有りませんでした。本日の広島は今年一番の熊本に負けない猛暑でありました。通常開けない校舎に面した扉を本日初めて開け放ちました。この道場で稽古を始めて10年、遂に開かずの扉を開ける羽目に成ってしまいました。開けてみて初めて気が付きましたが、この時間帯は西風がこの扉から吹き込んでおりました。凪までの一時の僅かなる風の流れに身を任せました。


猛暑の中、永原君も自転車を駆っての参加でありました。稽古前に彼だけはもうしっかり汗を流しておりました。稽古前の素振りの段階で剣道着は充分に汗を含んでおりました。基本稽古ではさらにもう一汗を流し、汗の質を変える事としました。当然暑さのせいでは有りますが皆の疲れる事の何と早い事か!これは身体の辛さと言うよりは暑さで精神の方が負けている様で有ります。正しく心身の練磨に良い時期の到来と言うところで有りましょうか。気を確り持って此処からの二ヶ月を乗り切って行って欲しいと思います。あまり汗を流す事の無かった者も二年の時を経てしっかり流せる体質に成って来た様であります。皆すこしずつ剣が染み込んで来ている様で有ります。相懸けの音も本日はばて様とは裏腹に今までで一番の音を響かせておりました。


汗の質が変わったところで、その勢いの儘兵法み移りました。三学(とりあげ)八勢を皆で遣い合いました。本伝の太刀を主体で取組ませておりました好美君の思いのほかの八勢の出来に一人ほくそえむ小生で有りました。遣わせてない割りに試合勢法らしく成っておりました。正しく小生の僅かなる企みの成功で有りました。自身がある種封印された試合勢法への飢餓感が良き見取り稽古になったと言う事で有りましょう。企て通りの成果であります。試合勢法主体に取組ませておりました御仁はまだまだ我慢の踏ん張り処で有ります。今少しの取り組みが必要であります。しかし弛まず諦めずに行えば一斉に花開くときが必ず参ります。其の為にはもっと誠実に自身を見つめ、伝えられた事を求める姿勢が必要であります。あまりにも無為に時間を遣い過ぎます。ただ汗を流しているとしか見えない事が多々あります。所詮自身で求めねば何も身に付きません。永原君はほぼ手順は覚えましたので今後は踏込みにて行って貰います。踏込みが出来ねば所詮真のすり足は出来ません。その後各人なりの勢法を遣って貰いました。下から、中段、九箇等々であります。二の斬りの踏込みがますます良くなってきております。中段九本目の体捌きがまだ足を伸ばすだけの踊りであります。そして竹刀操作がまだ拳で握りこんだ醜い状態を脱しておりません。課題は勿論尽きる事は有りませんが一つ一つ物にして参りましょう。


暫しのクールダウンで汗をひかせ、抜刀に移りました。時節柄これは短時間で行う事としました。抜き付け、斬り下し、納刀それなりの進歩を見せている者、そうでない者夫々でありますが毎回同じ事を指摘されて如何しますか!出来ない事を咎める事はしませんが、正しい事を遣ろうとしない戯けは許せません。怠けては駄目です。もっと自分を大切に真摯に求めねば剣を修行している価値が有りません。真の上達への道を皆歩んで行って欲しいと願っております。


暫しの一服で剣談と差し入れの甘味で一時を過ごし本日の稽古を終了致しました。この時期は行事やらお盆休みで少し稽古が不足しますのでしっかり一人稽古を行って欲しいと願っております。