広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

11月最後の稽古会

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昨日に引き続き11月最後の日曜稽古会を行いました。昨日の気の入らない惨憺たる内容の稽古をどの様に自覚して本日の稽古に臨んできたかを見極める事から始めました。気が入らず散漫するのは所詮呼吸法にいきつきます。稽古前の鏡を相手の遣いようを見るとはなしに観ておりますと其の点に気を配っている様子が垣間見られました。何とか判らぬながらも気を燃やそうとしている様でありました。其のせいか明らかに道場の空気が昨日とは違っておりました。ピィーンと冴えた冷気いや霊気さえ感じました。どうやら本日は厳島の神様が当道場に御出ましの気配でありました。


基本稽古に入りますと明らかに昨日とは様相は一変しておりました。良き手応えを感じるに任せ最後まで言葉を添える事なく、途中拍子の変化も交え遣い通させました。昨日の枇杷の木刀で打たれた様な指の変色も巻かれた白いテープに程よく隠され、何となくその白さを誇っている様で有りました。


兵法に入りましても昨日とは様相が一変しており、本伝の太刀から試合勢法まで一息で遣い合いました。遣い終えた時の清々しさは今年最高の物でありました。気を燃やし相手と気を通じ合うと言う事の手応えを掴んだ瞬間でもあった様であります。行おうとすればその修行の段階に応じて気は燃えてきますし、時として神様もおりてきて頂けるようと言う事であります。久々の後雷刀も導かれる侭に良く遣っておりました。


抜刀は今回は抜き打ちの技を重点的に抜き合いました。最近とみに振れて来ておりますので良き機会と判断しました。正体、一重身、正面、順逆と時間の許す限り行いました。そして最後に下半身を造り、丹田の締めだけで振り下ろす事を行わせました。鮮やかな刃音をさせ振り下ろされる刀の心地よさに本人が一番驚いていた様であります。自信で確認できた最初で最高の刃音であったと思います。呼吸力で刀を振るコツを知り掴んだ瞬間でもありました。やはり本日は宮島厳島神社の神様は見るに堪えられない祓殿の前から姿を消し、当道場に御出ましに成られ、ご褒美を残され、有象無象の退散した社に戻られた様であります。


師走前の最後の稽古会はある種一年の締め括りの感のするものでありました。この余韻のまま師走を過ごしたいと思います。