広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

八月盆休み前最後の稽古会

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盆休み前の稽古会を行いました。この日はお盆の帰省ラッシュの中、大阪から野原君が10時間かけて車で出向いて参りました。関戸君も山口から忙しい中、時間を作って出向いて参りました。初めての挨拶を交わしながらいそいそと購入したての綿袴を身に付けておりました。小林君も連戦の疲れも見せず・・・・少しは見せて元気に出向いて参りました。正しく猛暑の中、暑い熱い男稽古で有りました。野原君の到着までに先ずは確りと初学の者達との基本稽古を行いました。基本稽古でほぼ皆、脱水状態と成ってしまいました。水分補給をしながらも続ける稽古で出す汗は正しくこの時期にしか味わえない物でありました。二時間ほどして大渋滞に巻き込まれた野原君が到着しました。挨拶もそこそこに時間を惜しむように剣道着袴に着替えておりましたが、竹刀の手入れの悪さに早速説教タイムと成って仕舞いました。これは宮島演武からの流れで有りますので見過ごす訳には参りません。これでやっとこの事には性根が入ったとは思いますが・・・・一を聞いて十を知るとまでは申しませんが、二三は知って欲しいと思う小生で有りました。


兄弟子の基本稽古を見取ながら、、二人とも自分らとは明らかに違う元立の態度太刀捌き、気勢に少し驚いていたようであります。彼に対する指導は無論厳しさと云う点において他の者達とは自ずと違って参ります。咎め打ちの類も自然に阿吽の呼吸で出て参ります。小林君などは少し度肝を抜かれた風でありました。十年後の彼の姿でも有ります。目線を外すな、瞬きをするなと口やかましく指導してきましたが、またしても出るその悪癖に思わず間斬りを繰り出す小生でありました。最後の最後にやっと必死で応えておりました。


駆けつけ三本の三学、九箇、下からに必死の形相、気迫を見せながら喰らい付いて参りました。今年の宮島演武でやっと出た気迫を上回る物でありました。息を飲んで観ていた弟弟子達も確りと何かを感じた様で有りました。一本に精根を尽くせと常に伝えている事の手掛かりを掴む事が出来たのではないでしょうか。彼もやっと兄弟子らしくなって参りました。嬉しき事であります。十年の修業は伊達では無いと云う事で有ります。しかし彼はこれで見事に精根尽きはてて仕舞いました。しかし真の稽古とはこう云う物です。これで全く良いのです。


その後小林君の求めに応じて中段を遣い合いました。若者は若者らしく激しく変化の多い勢法が好みかもしれません。其れもまた良しであります。まだまだ長い手足を生かしきれるまでには至っておりませんが、何時の日にか彼にしか出来ない雄大な遣い方に到る日を心待ちに待ちましょう。関戸君には三学の残り三本の伝授を行いました。無論先ずは手順のみですが、少し混乱気味の彼で有りました。稽古後に少し補てんする事としました。


最後に皆で抜刀を抜き合いましたが、野原君は疲労が極に有った様で珍しく床に打ちつけておりました。他流ならいざ知らず、正伝新陰流の剣士には有っては成らぬ事であります。一寸のぶれなど有っては成らぬ事であります。自身の斬るべき処まで斬り通す。通した剣先はピクリともブレては成りません。剣に気が通れば自ずとそうなります。ただただ気を張りその気を自身の愛刀に通すべく、振りぬくのみであります。猛暑の中の稽古をやり終え、暫しの歓談の時間を持ち、皆散会して参りました。


後は明日の廣川君の退院を待ち、全員の一日も早い顔が揃う日を心待ちにしております。