広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

11月第三週稽古会

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第二週は所用のため稽古は中止としました。残り三週は雑事に煩わされる事無く、実りの時期を堪能したいと思います。この日も悩める若者が出向いて参りました。昨年の夏、何処からともなく大竹の稽古会に見学に出向いてきた者が、その日から何が気に入ったのか確りと居ついて仕舞いました。その時、含羞みながら名を名乗る若者の様子を観察しながら、その人柄と佇まいを観ておりましたが、身体全体はまだまだ鍛えているとは言い難い物を感じましたが、その太い首に何かを感じる小生で有りました。案の定、スーパーGTを主戦場とするプロドライバーとの事・・・納得で有りました。その時の彼は一時期の勢いからスランプのドン底にあったようで、何かを求めて当会を訪ねて来たようで有りました。その日から初めて手にする竹刀と心地よさそうに戯れ、二度と手放す事の無い雰囲気を醸し出しておりました。その日から日本全国はもとより外国も転戦しながら、広島に居る時には熱心に道場に通って来ました。

その日から全体稽古では剣を中心に、直伝稽古では心の持ち方(心法)を少し詳しく深く教習する日々が続いております。道場外でも何度もお茶をしながら或いは食事を取りながら、回を重ねながら彼の現状に耳を傾け、師弟共々に居住まい、正しい立居振舞いを求めて参りました。結果が出ずに意気消沈する若者に(レースに送り出し、バックアップしてくれている全ての人々に君の態度は情けない!無礼である!)と一喝したことも有りました。(負けても自身に悔いがなければ、もっと堂々としていなさい)と謙虚さを失う事無く毅然とした態度を求めた事も有りました。

日々の有形無形の精進が突如実を結び、初優勝ばかりか2戦続けて優勝として結果に現れました。昨年からの彼の悪戦苦闘を振り返れば奇跡なような出来事でありました。しかし世の中、何時までも浮かれてばかりはおれません。その後は予選でポールポジションを取れることは有ってもポイントを取れない日々が続き、気づいてみれば残すところ後一戦と成ってしまいました。彼の稽古振りを観れば日々の焦りが如実に現れております。結果を求めすぎて、その前の集中が疎かになっております。結果は端的に言えば(神のみの知る)であります。人である我らにどうこう出来る物では有りません。出来るのは遣るべき事に集中し、心を尽くす事のみであります。今年最後の戦いを前にする彼に言葉にして伝えました。

心置きなく己を尽くしてこい!