広島柳生会

正傳新陰流 広島柳生会

剣道の修業の一環として新陰流・制剛流抜刀術を伝承する広島柳生会の日常の稽古風景や出来事を掲載する。

英信館60周年記念大会での演武

英信館60周年記念大会にて演武を行って参りました。本来ならこの時期は宮島厳島神社奉納演武に出場するのでありますが、敬愛する英信館館長清水先生のお招きを得て、北九州に出向いて参りました。無論日程は被ってはなく、二週連続の演武は物理的に可能では有りましたが、演武者一同の気を英信館記念大会に集中するべく、宮島演武は取りやめにしました。それが当会の英信館及び清水先生に対する礼であると考えました。
 
先生とのご縁は七年前に遡ります。世にある居合とは事を異にしたその剣捌きに強く感動し、亡き師共々その共感を強く共有致しました。我が意を得たりとばかりに発せられた(それは本物だ)との亡き師のお言葉は、今でも鮮明に小生の心に響いております。
 
約80名からなる英信館のご一門の演武が少年の部、一般会員、高段者そしてとりの清水館長先生と続きました。当会がこの大会で演武を行うのは初めてでありますが、ここ数年弟子達を伴ってお祝いに駆け付けておりましたので、出場者は皆それなりに顔見知りの面々でありました。ここ数年順調に上達している者、迷いの壁に突き当たっている者と其々で有りましたが、日々の我らの稽古を思い浮かべながら皆勉強させて貰いました。
 
我々の出番は昼一番に設定されておりました。当初は第九クールを終えた廣川君も含めて四名での演武を考えておりましたが、退院後の副作用の回復が思わしくなく廣川君は欠場となり三名での演武となりました。我らはもとより清水先生も残念がっておられましたが、これも又致し方のない事でありました。急遽三本の予定を遣太刀二人に二本ずつ遣わせる事としました。三学、中段、九箇、下からと33本を続け遣いました。時は梅雨真っ盛り、三人共に通常では有り得ない汗を流すことと成りました。遣太刀二人は宮島の回廊とは違う、一点に集中する場での演武に、無形の位に取った瞬間に両足に震えを覚えたと申しておりました。良き場を与えて頂いたと感謝の一同でありました。宮島を取り止めてこの場に立った甲斐が有ると言う物で有りました。
 
平素から稽古でも整えようとしたり、形だけを作ろうとする事無く、気一杯で遣う事を求めておりますが、この日の足の震えも、自分なりに気一杯の踏込みを繰り返す内に自然に忘れてしまったと演武後に感想を述べておりました。良き事、良き経験で有ったと思います。有難い事であります。
 
其々に気一杯で遣いきった二人でありますが、無論演武に完璧は有り得ませんので反省も幾つか有ります。特に打太刀に連動すると言う事はまだまだでありました。これも又日々の稽古、年に一度の演武を経験しながら身に付けるしか有りません。特に最後に見せた礼法の乱れは第一の反省で有ります。無論初めての場での緊張と言う事は有りますが、所詮打太刀に集中していれば良いだけの事であります。互いに遣い合う勢法は独り善がりなど許されません。今後も師弟共々弛まず諦めず精進してゆくだけでありますが、(そろそろシャンとせよ!)と言うのが正直な気持ちで有ります。演武後にすぐさま会場の外で叱責した事は無論であります。
 
大会が終了し、先生方関係者に挨拶をし会場を後にしました。何時もの稽古後の様に近くのレストランを見つけて、遅い昼食を取りながら演武の反省会を行ないました。其々に良かった処、今後の課題を確りと確認しあいました。この場に英信館の数名のメンバーがいればもっと色々な事が話題に上がったのではと思うとそれが少し残念では有りました。とにもかくにも良き一日の師弟で有りました。
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